3. 会社設立後に増資・減資をすることも可能
会社の資本金は、会社設立後に増額または減額することが可能です。取引先に対する印象や課税関係などを考慮して、必要に応じて資本金の調整を検討しましょう。
3-1. 増資の手続き
資本金の増額(増資)の主な方法は、新株を発行するか、または剰余金を資本金に組み入れる方法の2通りです。
新株の発行による増資は、原則として、株主総会の普通決議(公開会社では取締役会決議)で募集事項を決定し、出資者から金銭の払込みを受ける形で行います。払込みを受けた金額の2分の1以上を資本金に計上しなければなりません。
剰余金の組み入れによる増資は、株主総会の普通決議によって、資本金に組み入れる剰余金と増資の効力発生日を定めて行います。
3-2. 減資の手続き
資本金の減額(減資)は、株主総会の特別決議によって、減少する資本金の額や減資の効力発生日などを定めて行います。
また、減資を行う際には原則として、債権者異議手続きを行うことが必要です。
債権者異議手続きでは、債権者は資本金の額の減少について異議を述べることができます。異議を述べた債権者に対して、会社は弁済や担保提供などを行わなければなりません。
4. まとめ
会社設立時の資本金の額は、取引先に対する印象や、税金やコストなどを総合的に考慮した上で決めるべきです。会社設立後の増資・減資も可能なので、会社の状況に合わせて適切な額の資本金を設定しましょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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