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「諸般の事情」は、思い立ってから告げるのが難しい時に使える言葉である。複数の事情を含むため、やや隠す要素が見え隠れする。
本記事では「諸般の事情」について、意味や例文を用いた使い方を解説していく。注意点も踏まえて補足するので、ぜひ最後までご覧いただき、完全な理解を得てほしい。
「諸般の事情」の意味とは?
「諸般の事情」を辞書で引くと、意味は以下の通りである。
諸事情(しょじじょう)とは、多くの事情や複数の要素が絡み合っている状況を指す言葉である。具体的な事情を一つ一つ挙げるのではなく、全体的な状況を総括する際に用いられる。例えば、計画が変更された理由を「諸事情により」と表現すると、具体的な事情を詳細に説明せずとも、複数の要素が影響していることを示すことができる。 |
この表現は、多くの事情やさまざまな要因が関わっていることを意味している。つまり、一つの事情だけでなく、いくつかの要素が関わっていることがわかる。
ところで、「諸侯」という言葉を聞いたことがあるだろうか。諸侯とは、君主のもとで一定の権力を持っている複数の臣下のことを指す。
このように、諸事情と同じく「諸侯」も複数を意味している。
歴史に興味があるならば、諸侯のような言葉に触れる機会が多いので、知識を深めてみてはいかがだろうか。
「諸般の事情」の使い方
諸般の事情は、2つ3つ以上にまたがるような事情を、1つの言葉にまとめて伝える時に使用する。
ビジネス、イベント、そして個人のやり取りでの「諸般の事情」の使い方を例文つきで見ていこう。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンでは、具体的な理由を詳しく説明せずに状況をまとめて伝える際に使う。特に、複数の要因が絡む場合に適している。
例文
・「諸般の事情により、会議の時間が変更されました」
・「諸般の事情で、プロジェクトの進行が遅れています」
「諸般の事情」を使うことで、詳細な説明を避けながらも状況を適切に伝えることができる。これにより、円滑なコミュニケーションが保たれる。
イベントでの使い方
イベントの開催や変更などに際して、詳細な理由を述べずに状況を説明するために使う。多くの要素が影響している場合に便利である。
例文
・「諸般の事情により、イベントは中止となりました」
・「諸般の事情で、開始時間が遅れます」
具体的な理由を省略しつつも参加者に適切に情報を伝えることができるので、参加者の理解と協力を得やすくなるだろう。
個人のやり取りでの使い方
個人間のやり取りでも、特定の理由を挙げずに全体的な状況を伝える際に使うことができる。特に、プライバシーを保護しながら事情を説明したい場合に適している。
例文
・「諸般の事情で、今週末の約束をキャンセルさせていただきます」
・「諸般の事情により、計画を変更しました」
プライバシーを保護しながらも相手に配慮した説明が可能となる。これにより、相手との信頼関係を保ちながら、必要な情報を伝えることができる。
「諸般の事情」を使う際の注意点
「諸般の事情」を使う際にはいくつか注意点が存在するので、誤った使い方をしないためにも確認していこう。
■使いすぎると信用を落とす
諸般の事情は、いくつもの原因を1つの言葉で表現できるため、つい安易に使いがちだ。しかし公私ともに、トラブルが発生するたびに発していると信用を落としかねない。
内容を略して話すのが諸般の事情の特徴なので、楽だからと使用し続けると「この人は自分の意見をいつも言わないな」「何を考えているかわからない人物だ」と印象も悪化させてしまうだろう。
■責任を果たし説明する際は厳禁
説明責任を果たさなければならない時には、「諸般の事情」の使用は避けるべきである。
例えば、会社に遅刻した場合や集合に遅れた場合にこの表現を使うと、正当な理由を説明しない社員だと思われてしまう。
遅刻時に「諸般の事情で遅れました」と言うと、具体的な理由を述べないため、信頼を失う可能性がある。
また、集合やアポイントに遅れて「諸般の事情」と言っても、相手にとっては自分の予定を狂わされたことになるため、言い訳がましく感じられて嫌悪感を抱かれるかもしれない。
説明責任を果たす際には、原因を包み隠さず正直に伝えることが重要である。正直に伝えることで、相手も納得しやすくなるだろう。