デジタルツールを活用する
デジタルツールを活用することで、物理的な荷物を減らすこともできます。例えば、書類や資料をデジタル化してスマホやタブレットに保存しておくと、紙の持ち運びを減らすことができます。また、ホテルの予約確認者書やパスポートの写しを、画像やPDFファイルで持ち歩けば、荷物を減らせるだけでなく、万が一の備えにもなります。
また、ノートPCなら軽量なモデル、タブレットならSIMカード搭載のものを使うようにしておけば、荷物の重量が減り、機動力を高めることができます。
さらに、スマートウォッチや軽量のワイヤレスイヤホンなどのウェアラブルデバイスを活用することで、身の回りの荷物をさらに減らせます。例えば、スマートウォッチを使えば、スマホを取り出すことなく通知を確認したり、着信に対応したりすることができ、移動中の煩わしさが解消されるでしょう。ワイヤレスイヤホンを活用すれば、側面のタッチ操作部で音量調整や曲送りなどをスマートに済ませられるので、スマホを直接触る頻度を減らすことができるほか、ケーブルが絡まる煩わしさもありません。
ミニマリズムは業務でも生かせる
ミニマリストの出張術のメリットのひとつは、タイムマネジメント力の向上です。荷物を減らし、必要なものだけを持つことで、出張の準備にかかる時間を短縮できます。また、移動時における荷物の取り扱いがスムーズになり、移動中や出張先での時間をより有効に使えるなど、時間という貴重な資源を最大限に活用することができるのです。
また、荷物を必要最低限に抑えるということは、重要かどうかの「見極め」ができるということです。この「見極め」は日常業務を早く終わらせることにも役立ちます。
残念ながら、すべての努力が報われることはありません。報われる努力と報われない努力を「見極める」ことができれば、前者に注力することができます。重要なことに時間と労力をかけることができれば、時間と体力が限られていても、より最大限の成果を出しやすくなるのです。
こうして時間と体力の最適配置が、ショートカット仕事術の本質です。ミニマリストの出張術は、単なる荷物の削減ではなく、働くことをよりスマートするための第一歩なのです。今回紹介したことを、出張の際にはぜひ実践してみてください。
文/越川 慎司
全員が専業禁止、週休3日の株式会社クロスリバーの代表取締役社長。800社超の働き方改革を支援している。仕事のタイパを上げるオンライン講座の実施は年間400件以上。自著29冊、最新刊『最速で結果を出す超タイパ仕事術』(小学館)が好評発売中。
800社17万3000人の行動分析で導き出した仕事の無駄を絶つ超タイパ仕事術
「時短を意識して仕事を進めるためには、一日を通して計画的に準備することが大切です。仕事時間だけに意識を傾けるのではなく、働く前後の時間を有効に活用することも心がけましょう。精神を落ち着かせることや、リフレッシュのための時間を確保することで、仕事時間中の効率が高まり、結果的には時短につながります」と話すのは、ビジネスコンサルタントの越川慎司さん。複業・週休3日を実践しながら800社へ働き方改革のノウハウを提供し、24冊以上のビジネス書を執筆している、まさに仕事の達人だ。その越川氏がの新刊が発売された。
最速で結果を出す超タイパ仕事術
著:越川慎司
働き方を見直すヒントが満載
同氏がこれまでに働き方改革を支援してきたのは800社以上にのぼる。クライアント企業の優秀なビジネスパーソンに見られる行動を分析して導き出した、業務の無駄を徹底的に省き、仕事のタイパ(タイムパフォーマンス)を高める方法を詳しく解説している。本の発売に先駆けて、その一部の内容を紹介したい。
同書は、第1章から第5章までの5部構成になっている。
第1章では、企業にはびこる無駄の数々について実証データをもとに紹介。「よかれと思って作ったページの81%が読まれない」「重要だと思っていた書類の88%は不要だった」など、どれも衝撃的な内容だ。日頃の仕事でいかに時間を浪費しているのか、思い知らされるに違いない。
第2章では、人間の思考傾向や行動原理について解説。「目の前の仕事に集中したくなる」「完璧を求めすぎると疲弊するだけ」といった思考回路を意識することにより、無駄を生じている様々な思い込みをやめるきっかけになるだろう。
第3章では、仕事の取捨選択を行なう際の〝見極め〟を伝授。「自分の目標から逆算して本当に必要な業務に注力する」「場合によっては念のための確認を省く」といった考え方を知ることで、在的には無駄だとわかってはいるもののやめられない業務を手放せるようになるはずだ。
第4章は、本書のメインテーマである〝タイパ〟を高めるための「無駄をやめられる35の秘策」を大公開! コミュニケーション、情報収集、アウトプット、タイムマネジメント、プレゼン、キャリアの形成といった6つのテーマごとに、具体的にどんなアクションを起こすことで無駄を省けるのかを、わかりやすく紹介する。35の秘策をすべて実践する必要はなく、真似できそうなところから始めてみても問題ない。
第5章は、成果を出し続けている企業の事例を挙げながら、組織としてタイパを高める習慣を指南。第4章までの内容と合わせて実践し、理想的な職場環境を構築してほしい。
なお、同書で紹介している〝超タイパ仕事術〟によって成果を上げているビジネスパーソンの実例も、コラムページで詳しく解説しており、多くのビジネスパーソンにとって働き方を見直す指針となるはずだ。
「この本を手に取って頂くような人は、仕事をがんばりすぎているはず。がんばりすぎずに無駄をやめましょう!」と、著者の越川慎司氏も話しており、書かれている内容は熱心に働くビジネスパーソンにやさしく寄り添うような内容ばかり。この本をきっかけに仕事の進め方を見直し、その分、浮いた時間をスキルアップやキャリアップに投資するといった、ウェルビーイングの実現につながる働き方を習得してみてはいかがだろう。