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Z世代が感じる「オフィスカルチャー」によって覆い隠されてきた労働環境問題

2024.05.26

職場での世代間ギャップはいつの時代にもあったが、現在の年長者世代と、「Z世代」の仕事に対する価値観には大きな乖離がある。Z世代にとって「はたらく」とは何か。アメリカ在住のZ世代が記す仕事と働き方についての時事エッセイ。

静かに進行する「Office culture」の消滅

なぜZ世代はリモートワークを求めているのか?

「Z世代はリモートワークを求めている」。この主張に間違いはない。だが、仕事や職場環境を充実させ、本当に労働者を満足させるためには、この心理を突き動かしている背景を理解する必要がある。

 2020年以前、特に「ビッグテック」と呼ばれるようなテック関連の大企業においては、「働きたいと思うオフィス」であるかどうかが、従業員にとって非常に重要な意味合いを持っていた。企業のキャンパス内が街のようになっていて、充実した無料の食堂やカフェがあり、おしゃれな内装でリラックスできるラウンジスペースや同僚と卓球を楽しめるゲームエリアなど、「憧れのクールな会社」はその物理的な職場環境自体を大きな魅力、ないしは会社のアイデンティティーとして誇っていた。

 しかしコロナパンデミックが2020年に発生したことで、「リモートワークは実現可能である」と証明された。これにより、無駄な対面での作業やマイクロマネジメントと呼ばれる細かい上司からのチェックは不要となり、自分のペースで、自宅で(それともどこか全く違う場所で)快適に仕事をすることが選択肢として一般化した。私自身、1997年生まれでZ世代とミレニアル世代のはざまに位置するが、多くの同世代は大学卒業と就職のタイミングでパンデミックを迎えた。

 その際に経験したリモートワークのメリットを手放したくないZ世代は多い。TikTokをはじめとした数多くのSNSでも「通勤時間問題」は話題になる。通勤の間に給料は発生しないし、電車内での混雑やクルマの渋滞などのストレスも重なる。それがリモートワークであれば、通勤のストレスはもちろん、服装や食事の心配も減る。

 多くのアメリカの若者はリモートワークかハイブリッド型の働き方を求めている。それにもかかわらず、企業は生産性やチームワーク、団結力などの理由を盾に、インパーソン(対面)型の雇用に戻ろうとし始めている。しかし、パンデミック以降、リモートワークが「当たり前」のものになっているZ世代にとって、現在多くの会社が行なっている「オフィスに戻りましょう」という呼びかけは理不尽で意味不明なものに感じられても無理はない。

 企業やメディアの多くは「オフィスカルチャーの重要性や楽しさ」を強調するが、雇用形態も不安定で物価は上昇し、年をとっても生活のために働き続けなければならず、退職後も悠々自適に暮らす未来が見えないZ世代にとって、いくらキラキラとしたオフィスライフを訴えかけられても、魅力的には感じづらい。それよりも彼らは充実した医療保障や有給休暇システム、賃上げ、そしていわゆる「社員同士の無駄な交流の削減」を望んでいる。会社やオフィスへの貢献よりも自分自身が働きやすくなる「具体的な利益」を重視しているのだ。

 様々な業界で大量解雇が何年も絶え間なく続き、世界で不安定な状況が続く中、現在の労働者は経済的な安定と幸福をより重視するようになった。そのような状況下で、福利厚生や雇用条件など「具体的な利益」を求める傾向が強いZ世代の働き方は、今までオフィスカルチャーの魅力が覆い隠してきた労働環境の問題に変化をもたらすかもしれない。WeWork人気の暴落、そしてテック企業の過酷で波瀾万丈な実情などを見ると、「華やかで楽しい」テック業界の印象も崩れつつある。福利厚生の充実や個々人にとっての「働きやすさ」に企業が対応していくのか、それとも従業員が選別されていくのか。現在はまさにその「変化」の過渡期にあるだろう。

文/竹田ダニエル

竹田ダニエル竹田ダニエル|1997年生まれ、カリフォルニア出身、在住。「音楽と社会」を結びつける活動を行ない、日本と海外のアーティストをつなげるエージェントとしても活躍する。2022年11月には、文芸誌『群像』での連載をまとめた初の著書『世界と私のA to Z』(講談社)を上梓。そのほか、多くのメディアで執筆している。

Z世代的価値観に関するインタビューはこちら

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