正社員として努力を重ねれば見えてくる出世や管理職への道。かつては誰もがそこを目指していた。しかし仕事への価値観や働き方が多様化した今の時代において、20~30代就業者の何割程度が、出世や管理職になることを望んでいるのだろうか?
パーソル総合研究所はこのほど、あらゆる雇用形態・業職種の10,000人を対象に毎年実施している、「働く1万人の就業・成長定点調査」の2024年度版の調査結果を発表した。
2017年に調査を開始して今回で8年目となる本調査。ここでは、今回の調査の中でも特に変化がみられた20~30代就業者の『出世意向』『管理職意向』『働き続けたいと思う年齢』についての経年変化を抜粋して紹介する。
1.20代~30代の出世意向が減少
正社員の出世意向の変化を5歳ごとの年代別にみると、2017年と2024年比較では、20代~30代の「出世したい」の割合が減少。「出世したいと思わない」が「出世したい」を上回る分岐点の年齢は、2017年の42.5歳から、2024年の25.7歳にまで低下。このような出世意向の減少は、ここ数年の変化だ。
男女別にみると、男性正社員のみで20代~30代の出世意向が低下している。女性正社員ではほとんど変化がない。
2.男性の20代・30代正社員の管理職意向も減少
男性の20代・30代正社員の管理職意向の変化をみると、聴取を開始した2018年から2024年にかけて、「管理職になりたい」割合が減少。20代は8.2pt、30代は8.9pt減少した。一方で、女性の20代・30代正社員の管理職意向は横ばいで推移。
3.20代・30代就業者の働き続けたい年齢が低下
20代・30代就業者の就業終了希望年齢(働き続けたいと思う年齢)の変化をみると、2017年から2024年にかけて、20代で-3.7歳、30代で-3.1歳短くなっている。他の年代ではこのような就業終了希望年齢の低下はみられない。特に、20代では「50歳まで」が23.7%から31.7%まで増加。30代では「55歳まで」が18.8%から26.2%に増加。
20代就業者の就業終了希望年齢(働き続けたいと思う年齢)の変化を男女別にみると、2017年から2024年にかけて、特に男性で平均-5.8歳若くなり、「50歳まで」が13.7%から29.1%まで増加。一方で、女性では大きな変化がない。20代男性就業者の早期リタイア意向が上昇し、女性との差がなくなってきていることがわかる。
30代就業者の就業終了希望年齢(働き続けたいと思う年齢)の変化を男女別にみると、2017年と2024年を比較すると、特に男性で平均-4.2歳若くなり、「55歳まで」が14.3%から28.1%まで増加。一方で、女性ではほとんど変化がない。30代男性就業者の早期リタイア意向が上昇し、女性との差がなくなってきていることがわかる。
出典:パーソル総合研究所
構成/こじへい