サプライチェーンの最適化のための課題と取り組み
企業は、サプライチェーンの最適化の緊急性を認識し注力している一方で、調達先の移転や再構築には時間がかかると認識しており、中国に代わり得る能力(北米20%、欧州・中東・アフリカ10%)、そして、十分なキャパシティ(北米 16%、欧州・中東・アフリカ 10%)を有するサプライヤーを特定することを最大の課題に挙げている。
また、調達先の確保を目指すチャイナプラス戦略を加速させるとともに、よりよい内製対外製のバランスを目指す「MAKE VS BUY」戦略を推進するべく、サプライヤー開発(北米27%、欧州・中東・アフリカ18%)やグローバル調達のコストモデリング(北米22%、欧州・中東・アフリカ29%)、物流・流通拠点の見直し(北米22%、欧州・中東・アフリカ11%)への投資に注目している。
さまざまなリスク回避できれば、もはや中国だけが低コストの調達先ではないことは明らかで、移行に係る投資の必要性もより一層高まるとみている。
業種を問わず「MAKE VS BUY」戦略の策定は極めて重要であると見なされる一方で、半数以下の企業が戦略を策定していない状態であることがわかっている。
なお、欧州・中東・アフリカの建築業界の41%、自動車業界では30%がその策定に未だ着手できていないと回答している。
担当幹部が最も重視する項目に関しては、サプライチェーンを最適化においては、「コスト」(北米52%、欧州・中東・アフリカ23%)、「品質」(北米23%、欧州・中東・アフリカ21%)が挙げられる。
また、ニアショアリングの検討については、「労働力」(北米34%、欧州・中東・アフリカ49%)、続いて北米は「場所の選定」(19%)、欧州・中東・アフリカは「インフラ」(12%)となっている。
さらに、企業は、チャイナプラスワン戦略において、政府の施策を活用する準備が整っているかは地域や業界によって異なるにも関わらず、行政の支援策は、サプライヤーのキャパシティや能力、コストなどよりも、より効果を発揮する手段と考えていることも判明している。
調査概要
目的/北米、欧州・中東・アフリカの大手企業のサプライチェーン担当役員が近隣諸国へのニアショアリングを検討する際、最重要視する項目や課題についてのインサイトを得るため
時期/2023年夏
対象/北米および欧州・中東・アフリカに拠点を置く自動車、消費財、建築、医療機器業界、石油・ガス業界の企業に所属するサプライチェーン担当幹部215 名(うち60%が売上高50億ドル以上の企業)
実施/アリックスパートナーズ
関連情報
https://www.alixpartners.com/jp/
構成/清水眞希