業種別:「不動産」が62.6歳と高水準“上場企業の20代社長”は、2023年時点では2名に
社長平均年齢を業種別でみると、「不動産」が62.6歳で最も高かった。不動産業のうち細分類9業種では7業種が全体(60.5歳)を上回っており、なかでも「貸事務所」「貸家業」などでは特に高齢化が目立つ。
他方、若手起業家が多い“IT企業”や個人向け業種が分類される「サービス」は59.1歳で最も低かった。
なお、上場企業の社長平均年齢は58.6歳だった。ANYCOLOR(東京都港区、東証プライム上場)の田角陸氏(28歳、当調査時点)に続いて、2023年9月27日に新規上場を果たしたAVILEN(東京都中央区、東証グロース上場)の高橋光太郎氏(29歳)も20代で社長となった。
都道府県別:都道府県別では「東高西低」、秋田県が6年連続トップ
社長平均年齢を都道府県別でみると、秋田県が62.5歳(2022年比+0.1歳)で最も高い。1990年から8.7歳上昇しており、6年連続のトップとなった。
また、次いで岩手県(62.4歳、同+0.1歳)、高知県(62.3歳、同+0.2歳)が続いた。なかでも、東北地方は6県すべてで全体平均(60.5歳)を上回っている。また、前年からの上昇幅としては和歌山県(61.3歳、同+0.4歳)が最も高かった。
他方、平均年齢が最も低かったのは三重県で、59.4歳。三重県は2023年時点の後継者不在率が30.2%と全国で最も低い点も含め、円滑な事業承継の結果が表れているといえよう。一方で、前年から0.3歳上昇しており60歳超えも視野に入ってきた。
なお、47都道府県のなかで社長平均年齢が前年から低下した地域はみられず、鳥取県(61.0歳)、香川県(60.3歳)、佐賀県(60.5歳)、大分県(60.4歳)の4県のみ同横ばいという結果に。
今後の見通し:既に後継者難倒産は過去最高水準、社長の「高齢リスク」噴出が懸念
社長の平均年齢は上昇傾向が続き、過去最高を更新した。2023年の社長交代では16.2歳の若返りがみられたものの、交代率は3.80%と低位にとどまっている。このまま社長交代率が改善しなければ、さらに社長平均年齢は上昇しそうだ。
こうした結果を踏まえ、社長の「高齢リスク」にはさらなる警戒が必要だ。実際に、2023年度の後継者難倒産は586件となり過去最高を大幅に更新し、そのうち約4割は「経営者の病気、死亡」が原因であった。
社長の高齢化が進めば、不測の事態が生じる可能性は自ずと高まる。円滑な事業承継を確実に進めていくためには、計画的かつ余裕のある準備が必要となりそうだ。
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https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240406.html
構成/Ara