美容専門学校に通い、国家資格である美容師免許を取得しなければ就くことができない美容師の職。そんな就業する上で相応の努力が必要な職業であるにもかかわらず、美容師の初職就業期間は「3年未満」が36.7%だという。早期離職が起きる理由はいったい何なのだろうか?
リクルートの美容に関する調査研究機関『ホットペッパービューティーアカデミー』はこのほど、全国の美容サロン従事者2,899人(スクリーニング調査:7,481人)を対象に「美容サロン就業実態調査」を実施し、その結果を発表した。
ここでの美容サロン従事者とは、美容師、ネイリスト、エステティシャン、リラクゼーションセラピスト、まつげエクステスタッフを指す。
スクリーニング調査
【美容師】初職を辞めた/転職した理由として、1位は給与に関する不満で、4人に1人以上が回答。上位に職場環境や人間関係への不満がランクインしている。
1年以内の美容師離職率は前年からほぼ横ばい(前年比0.2ポイント増加)。美容師離職率、休眠美容師率は前年から微増。美容師離職率は48.0%(前年比1.5ポイント増加)、休眠美容師率は58.3%(前年比1.3ポイント増加)。美容師勤務未経験率(免許のみ保有)は、前年からほぼ横ばい(前年比0.2ポイント増加)。
<本調査>~現役美容師における離職経験と、復職のきっかけについて~
現役美容師に離職経験(美容師を辞めた経験)を聞くと、4割以上は経験が「ある」と回答。
離職していた期間で最も多いのは「1年以上~3年未満」(30.7%)で、次に多いのが「3年以上~5年未満」(27.4%)。
復職のきっかけとして、1位は「資格を生かした仕事のほうがよいと再認識したから(資格を生かして働きたいと思ったから)」(21.7%)、2位は「その仕事が好きだから」(20.4%)、3位は「勤務条件に合うサロン(店・会社)が見つかったから」(19.2%)。
■研究員からのコメント
現役の美容師に離職経験(美容師を辞めた経験)を聞くと、4割以上が経験が「ある」と回答。そのうちの7割以上が5年未満で復職していることがわかりました。復職のきっかけの上位二つは「資格を生かし
た仕事のほうがよいと再認識したから(資格を生かして働きたいと思ったから)」と、「その仕事が好きだから」。
復職したスタッフの方へお話を伺うと、「美容が好き」、「人をキレイにすることが好き」とおっしゃる方が多く、好きだからこそ、美容師として再び働く方が非常に多いと感じます。
初職の離職率も高い一方で、資格を生かした復職が少なくないのも美容業界の特徴です。「働きたいと思った人が、いつでも働ける」持続可能性の高さを業界の魅力として発信していくことが、働く人の増加につながっていくでしょう。
(『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員・田中公子氏)
<調査概要>
調査名:美容サロン就業実態調査(2024年)
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:<スクリーニング調査>2024年1月10日~2月15日
<本調査>2024年2月19日~2月26日
調査対象:<スクリーニング調査>15歳以上の男女
スクリーニング実施時点での主な職種
美容師/ネイリスト/エステティシャン(脱毛・フェイシャル・ボディ)/リラクゼーションセラピスト(整体・リンパなど)/まつげエクステスタッフ
※能登半島地震のため、石川県の一部地域に対して配信停止または配信方法を変更
<本調査>美容サロン従事者
2,899人回収(美容師:1,135人/ネイリスト:215人/エステティシャン:560人/リラクゼーションセラピスト:846人/まつげエクステスタッフ:143人)
構成/こじへい