日本屈指の鋳造メーカーが変わり種商品を造ることのメリットとは?
アイアンファクトリーを有するキャステムの金属製造・加工技術は世界で高い評価を受けている。強さの秘密はどこにあるのか?
「実は30年前は弊社と同じ精密鋳造会社は日本に100社以上ありました。それが今は20社以下。いわゆる衰退産業と言われています」
「その中でもおかげさまで弊社は売上を年々伸ばしているのですが、本業が好調な時に様々な新規事業を立ち上げ、第2の柱、第3の柱を築いていこうとしています。ですので、アイアンファクトリー以外にも農業事業や真珠の事業も存在しています」
農業事業ではトマトやイチゴを育て、真珠養殖の特許技術を用いたジュエリーブランドも立ち上げた。しかし、ただ無意味に目立つような挑戦をしているわけではない。伝統を重んじながらも、そこにあぐらをかかず、とにかくやってみる。裏打ちされた真の技術という大黒柱を大切にしながら。
「アイアンファクトリーは『これまでにないものを作る』をコンセプトに商品を開発し、変わった商品を作ることで話題になりやすく、広告費0円でも様々なメディアに頻繁に取り上げて頂いています。話題になればもちろん商品も売れますし、今では800人以上の学生が毎年キャステムにエントリーしてくるようになりました。鋳造業であるにも関わらず、キャステムに来たいという女性も増えています」
「最近ではデジタル技術(3Dプリンター)と精密鋳造技術を融合させた「デジタルキャスト」という製法に力を入れています。こちらは超短納期で、しかも1個から型費不要で金属化ができる製法。様々な業界からたくさんの注文を頂いております」
衰退の一途を辿る世界で粉骨砕身の努力を続けるキャステム、そしてアイアンファクトリー。これから挑戦したいことを聞いた。
「キャステムの第2、第3の柱としてアイアンファクトリーが今以上に大きくなることが私の使命だと思っております。これからも、話題性のある商品開発をし、更に売上を伸ばしていきます」
「また昨年は、初めて海外(台湾)で弊社商品の「バナナハンマー」がバズり、大きな売上となりました。海外への可能性も感じましたので、国内だけでなく海外にも目を向けて、世界で売れるオンリーワンの商品開発をして参ります」
取材協力
株式会社キャステム
アイアンファクトリー
文/太田ポーシャ