ロードノイズの小ささと操縦性&耐摩耗性の高さを高次元で両立
そんなデータから読み取れるのは、タイヤの剛性を高めるほどロードノイズには不利で、ロードノイズを小さくするためにはタイヤをソフトにしなければならないのだが、ソフトにしてしまうと操縦性や耐摩耗性に期待できなくなりがちだ。ADVAN dB V553はそうした相反する性能を高次元で両立できた、最新のプレミアムコンフォートタイヤということになるだろう。なお、一般社団法人日本自動車タイヤ協会による低燃費タイヤなどのラベリング制度で、ADVAN dB V553は転がり抵抗性能でAAまたはA(タイヤサイズによる)、ウェットグリップ性能は全サイズで最上級のaグレード、そして全サイズともに低燃費タイヤ、低車外音タイヤに認定されている!! タイヤは距離を走り、摩耗してくるとロードノイズに起因する静粛性や乗り心地が悪化するものだが、摩耗しても静粛性が持続するところは、ロングライフ、経済性の点でも評価できるというものだ。
ADVAN dB V552の前愛用者が最新のADVAN dB V553をテスト
さて、以前、新車から5年経ったクルマに以前のADVAN dB V552を履いて、乗り味がまるで新車のように蘇ったように思えた(個人の感想です)経験のある筆者が、新しい静音プレミアムコンフォートタイヤのADVAN dB V553を、これまで、荒れた路面、粒の大きいアスファルト舗装路で過大なロードノイズに悩まされていたクルマに装着して走り出すことにしよう。なお、クルマに詳しい人、タイヤに詳しい人には、釈迦に説法だが、新品タイヤを履いたら”慣らし運転が”必要だ。夏タイヤ(冬タイヤではない一般的なタイヤ)では走行100kmまでは80km/h以下で走行し、急発進、急ブレーキを避けた穏やかな運転でタイヤの皮むきをする必要があり、タイヤを交換後、1週間ぐらいで空気圧を調整、1カ月後ぐらいにはホイールナット増し締めを行うこと。そうすることでタイヤ本来の性能が発揮されるのである(テスト車はすでに皮むき済み)。
ADVAN dB V553装着車で走り出せば、まずはタイヤの1回転目で感動である。とにかくクルマの動きが滑らか。転がり抵抗のなさが感じ取れる。速度を上げていくと、これまで履いていたタイヤ(走行1万kmちょっと。8分山)で大いに気になっていたロードノイズの低減に、再度、感動だ。良路でのロードノイズの差はそれほどでもないが、荒れた路面、粒の大きいアスファルト舗装路でのロードノイズの差は歴然。スマートフォンの騒音計では、同じ荒れた路面でのノイズレベルがグッと低まり、あくまでスマートフォンの簡易騒音計の数値とはいえ、体感的にもずいぶん静かになった印象を、以前のタイヤのロードノイズのうるささを知る数人の乗員とともに確認することができた。とくにちょっと荒れた路面での中周波、高周波ノイズはほとんど気にならなくなったのだ。テスト車はガソリンターボモデルだが、エンジンが低回転を保つ巡行時の総合的な車内の静かさは、前後して乗る機会のあった大径スポーツタイヤを履いたBEV(電気自動車)と大きく変わらないと感じたほどである。つまり、ロードノイズがノイズの主体となるBEVなら、さらに車内の静かさのレベルアップに貢献してくれるタイヤということだ。
それは、新開発のパターンデザイン=サイレントブロック、ベルト部の剛性をコントロールしてタイヤの振動を抑制するとともにロードノイズを低減するサイレントカバー、人間が耳障りに感じる100~160Hz周波数帯のロードノイズを低減するサイレントベースゴム、一般的なタイヤのベルトより幅広のベルト採用でノイズの原因となるショルダー部の振動を抑制して静粛性を高めるサイレントカバーの総合力の面目躍如と言っていいだろう。
静粛性だけでなく走りのスムーズさや乗り心地まで変わった
さらに、走り出しでも感じられた抵抗感のない転がり抵抗がもたらすタイヤの滑らかな回転によって加速時のスムーズさが高まるとともに、ステアリングフィールのスムーズさも増し、具体的にはより少ない舵角でカーブを曲がれ、レーンチェンジが行えるようになった印象だ(ゆえにタイヤの摩耗も起こりにくくなる)。乗り心地に関しても、段差、マンホールの乗り越えをじつにしなやかにこなし、音、振動といったショックが低減。大げさに言えば、ワンランク高い車格のクルマに乗り換えたかのようでもある。
以前、V552を初めて装着した時もそうだったが、クルマが見違えるほどの、いや、その時以上の静かさ、上質な走行性能、直進安定性、ADVAN dB自慢の高い操縦安定性を手に入れたことを確認できた。それは一般道の走行はもちろん、高速走行、山道走行でも同様だ。タイヤを変えただけで静かさはもちろん、走りの質全体が、誰にでも分かるほど大きくレベルアップしたように感じられる(なので、これまで国産自動車メーカーの開発陣にADVAN Dbを”勝手に”お薦めしてきた)。
タイヤの摩耗後の性能にもこだわりが
新しいタイヤなら、印象が変わって当然・・・という意見もあるだろうが、V553の場合、距離を重ねたあとの摩耗時のロードノイズ低減、摩耗時ウェット性能短縮といった、将来のタイヤ性能にまで踏み込んだ造りになっているのだから、心強く、経済的でもある。残念ながらウェット性能を試す機会はなかったが、摩耗時ウェット制動で国産自動車メーカーが純正採用しているV552に対して9%短縮・・・というデータがなによりもの安心材料だろう。雨の日はスリップなど危険を伴うが、一流メーカーのタイヤなら新品時のウェット性能に優れていて当然。が、タイヤ摩耗時のウェット制動まで頼りになるのが、ADVAN dB V553ということだろうか。
なお、ヨコハマタイヤのHPに示されているタイヤ選びで、ADVAN dB V553は「燃費をよくしたい方へ」、「雨の日の不安を解消したい方へ」の項目でも推奨されている。
扁平タイヤの交換は信頼できるショップに任せたい
ちなみに、筆者はこれまで、タイヤ交換はタイヤメーカーのショップにお願いするようにしている。とくに扁平タイヤの場合、交換の際の適切な機材や高い技術力が必要で、ガソリンスタンドなどでは対応できないこともあるし、お店によってはホイールをキズつけてしまう可能性もないでもない。ヨコハマタイヤであれば、タイヤの専門店、プロである、例えばヨコハマタイヤのタイヤガーデンなどにお任せするのがいいと思う。ホイールの締め付けトルクはレンチとタブレットがBluetoothでつながっていて、締め付けトルクが目に見えるといった安心感がある。
加えて、タイヤの皮むきが終わったあとの空気圧チェック、ホイールの増し締めなどのサービスを受けることもお忘れなく。
日頃から新車のテストを行っていて、V552の装着経験(3年2万km走行)もある筆者の個人的な印象では、新しいADVAN dB V553はその”神タイヤ”ぶりを一段と高めた、車内の静粛性やプレミアムオーディオの視聴環境、乗り心地、タイヤの耐摩耗性にこだわるユーザーにぴったりのプレミアムコンフォートタイヤと結論づけることができる。
文/青山尚暉(モータージャーナリスト)
写真/青山尚暉 雪岡直樹(ホンダZR-V)