「女性管理職を増やせ」の呼びかけがあっても、男性上司にとって、迷いや不明点が多く、どうすればうまく引き上げられるのか悩ましいところがあると思われる。性別が違うだけでなく、女性の本音やキャリア展望と実際の仕事をマッチングさせることにも課題があるといわれる。今回は有識者に、よくある男性上司の女性活躍推進の課題や、自身の捉え方、うまく女性を引き上げる術を聞いた。
女性部下の活躍推進を進める壁
女性管理職育成を積極的に進めている株式会社ターン・アンド・フロンティア 代表取締役社長の大久保哲也氏は、一般女性社員の資質を見い出して育成し、取締役に引き上げた経験がある。
大久保氏は2013年に同社へ入社後、営業職を経て2021年2月に社長へ就任。その後、他社から引き抜いた一人の営業職の女性の才能に着目し、一般社員から執行役員、取締役にまで成長させた。持っている知識やノウハウを惜しみなく伝え、少し手を伸ばせば届く目標を設定し続けることで、その女性社員は営業職としても人としても大きな成長を遂げた。
実際のところ、大久保氏のように女性を管理職に引き上げることは簡単なことではない。今、男性上司が女性部下の活躍推進を進めるにあたって、どんな課題があるだろうか。大久保氏は次のように話す。
「大きく2つあると考えます。一つは、家庭環境において夫のキャリアが優先される傾向や育児負担が女性に偏ること。例えば夫の転勤があれば、家族も一緒に付いていく選択をすることも少なくありません。そのため男性よりもライフワークバランスがむずかしいといった現実が挙げられます。
もう一つは、職場に根付く性別に基づく固定観念や先入観が女性のキャリアアップの障害となり得ること。リーダーへの昇格や、組織内におけるリーダーの数、担当する業務など、何か組織上の意思決定において、性別に基づく固定観念が影響している可能性があります。
このような状況下において、性別にとらわれず、個々の能力や才能、意欲を尊重するアプローチが求められると考えています」