2023年6月に公表された「女性版骨太の方針2023」において、東京証券取引所プライム市場に上場する企業の女性役員比率を「2030年までに30%以上にする」という長期目標が掲げられ、同年12月の男女共同参画会議では「2025年までに19%にする」という中間目標が示された。
社外から取締役候補を招いて女性役員比率を増やすだけではなく、将来の役員候補となる管理職の採用や、育成強化の必要性が高まる中、「女性管理職比率向上」に向けて各企業がどのような施策を実施し、従業員はそれをどのように受け止めているのだろうか。
Works Human Intelligence(以下 WHI)は、大手企業の人事部と大手企業に勤務する従業員を対象に、「女性管理職比率向上に関する施策の実施状況や従業員の意識」について、企業人事部向け調査(全15問)と従業員向け調査(全16問)を実施。
企業人事部向け調査は610名、従業員向け調査では631名から回答を得たので、結果をお伝えしよう(調査期間:2023年12月11日~2023年12月14日)。
女性管理職比率向上に関する施策を実施している企業が8割を超える一方、「施策の効果実感なし」と答えた従業員は4割以上
企業向け調査の女性管理職比率の向上に関する施策取り組み状況を問う設問で、何らかの取り組みをしている企業は84.6%という結果に。
一方、従業員向けの調査で、自社で実施している施策のうち最も効果を実感しているものについて聞いたところ、「効果を感じているものはない」(42.9%)が最多であった。
企業向け調査で、自社で実施している施策のうち最も効果を実感しているものについて聞いたところ、「効果を感じているものはない」(22.5%)が最多。
従業員向けの調査で、「管理職になりたいと思わない」と回答した女性従業員は85.3%、男性従業員では80.3%と、性別に関係なく管理職を望まない従業員が8割を超える結果に。
理由としては男女共通して、「ワークライフバランスが悪化するから」、「管理職になれるほどの能力がないから」、「責任のある仕事をやりたいと思わないから」という順で回答が多くなっている。
「会社でどのような支援があれば、管理職になりたいか」を問う設問で、女性では「管理職の職務定義の明確化」「特になし」「仕事に対する評価」の順で回答が多かった。
調査概要
調査名:女性管理職比率向上に関する施策実施状況の調査
期間:2023年12月11日~12月14日
調査機関:自社調べ
対象:従業員数500名以上の企業の人事部610名
従業員数500名以上の企業に勤務する会社員631名
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:従業員数500名以上の企業の人事部610名
従業員数500名以上の企業に勤務する会社員631名
※「Works Human Intelligence調べ」
※本記事のグラフの内訳は、小数点第一位まで表示している。そのため、端数処理の関係で内訳の和が100%にならない場合も。