Adecco Groupの日本法人で、総合人事・人財サービスを展開するアデコでは、日本全国の企業で派遣社員への指揮命令を行なっている400人を対象にした「派遣社員の早期離職に関する調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
派遣社員の指揮命令者の約9割、「派遣社員の受け入れに悩みや課題がある」
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「派遣社員の受け入れにおいて悩みや課題はありますか」と質問したところ、約9割となる89.1%が「ある」(ある:46.3%、どちらかといえばある:42.8%)と回答した。
続いて、前問で「派遣社員の受け入れにおいて悩みや課題がある」と回答した派遣社員の指揮命令者356人に対し、「派遣社員の受け入れにおいて、どのような悩みや課題がありますか」と質問したところ、1位は「スキルのミスマッチが起きやすい」(51.1%)、2位は「自社に適した人財の受け入れが難しい」(42.7%)、3位は「早期離職が起きやすい」(37.4%)という結果になった。
一方、「派遣社員の受け入れにおいて、重視していることは何ですか」と質問に対しては、1位が「経験やスキル」(52.5%)となっており、経験やスキルを重視しているにも関わらず、スキルのミスマッチが起きやすいと考えていることがわかった。
1年間で一部署あたり平均5.8人が「企業・組織風土とのミスマッチ」を理由に早期離職
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「人財派遣サービスを活用する上で、企業・組織風土とのミスマッチに起因する派遣社員の早期離職を課題だと感じることはありますか」と質問したところ、88.5%が「ある」(ある:38.5%、どちらかといえばある:50.0%)と回答した。
さらに、「企業・組織風土とのミスマッチを理由に早期離職した人数はどのくらいですか」と質問したところ、平均で5.8人となった。
この結果に基づき、企業・組織風土とのミスマッチによる早期離職によって失われる想定コストを算出したところ、日本全体で年間9兆464億6090万4994円にのぼることが判明した(※)。
※ 企業数×組織文化のミスマッチによる早期離職者の年間平均人数×派遣社員1人が6か月以内に離職した場合に失われる想定コスト。組織文化のミスマッチによる早期離職者の年間平均人数は5.8人(本調査におけるスクリーニング調査により算出)。1人が6か月以内に離職した場合に失われる想定コストは138万2844円と算出(アデコが独自に算出)。
■指揮命令者の半数以上が派遣社員の早期離職者による「余計な引継ぎ業務が発生する」ことを課題に感じている
「企業・組織風土とのミスマッチが理由で早期離職した派遣社員がいる」と回答した全国の派遣社員の指揮命令者369人に対し、「派遣社員の早期離職が発生することで、どのような損失がありますか」と質問したところ、「余計な引継ぎ業務が発生する」(53.4%)がトップとなった。
受け入れや教育のコスト以上に、引き継ぎの発生を課題に感じている企業が多いことが推察できる。
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「派遣社員の早期離職を防ぐための対策として、行っていることはありますか」と質問したところ、1位は「業務内容や範囲を明確にし、説明機会を作る」(38.4%)、2位は「派遣社員との条件面でのマッチ度を事前に測定する」(36.5%)となった。
■派遣社員の早期離職の対策としては条件や価値観のマッチ度が重要
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「派遣社員の早期離職を防ぐために、今後どのような対策をとることが有効だと思いますか」と質問したところ、1位が「派遣社員との条件面のマッチ度を事前に測定する」(36.5%)、2位が「派遣社員との価値観の面でのマッチ度を事前に測定する」(36.3%)という回答結果が得られた。
さらに、「派遣社員の価値観と企業・組織風土をそれぞれ数値化・可視化したうえでマッチングすることで、派遣社員の早期離職を減らすことができると思いますか」と質問したところ、約9割となる87.3%が「そう思う」(そう思う:34.0%、どちらかといえばそう思う:53.3%)と回答している。
調査概要
調査対象/全国(派遣社員の受け入れに関する決定権があり、派遣社員への指揮命令を行う担当者)
サンプル数/400人
調査方法/インターネット調査
実施時期/2024年2月2日~4日
調査実施会社/株式会社シグナル
出典/アデコ株式会社調べ
関連情報
https://www.adeccogroup.jp/
構成/清水眞希