約6割の人が、職場のデジタル化は「遅れている」
続いてデジタル化について質問した。デジタル化とはアナログで業務していたものを、デジタルを活用した業務に変更することで、DXを実現するのに必要なIT化を進めるための1つの方法だ。デジタル化が「進んでいる(13.0%)」、「どちらかというと進んでいる(25.2%)」と回答した人は4割近くいた。
一方、約6割の人が務める職場では、デジタル化が遅れているという実態も明らかとなった。デジタル化が進んでいると感じる理由として、ペーパーレス化やリモートワーク、会議のオンライン化などの声が多く寄せられた。デジタル化が遅れていると回答した人からは、経営層の理解度が十分ではないことや、まだまだペーパーレス化が進められていないこと、取引先のやり方に合わせているといった声が寄せられた。
●進んでいると感じる理由
「ペーパーレス化が進んでおり、紙のやりとりが以前より少なくなった」(広島県・39歳女性)
「電子決裁、押印が許可されることで、リモートワークが可能となっている。ペーパーレス化でファイル保管が減っている」(大阪府・47歳女性)
「新しくデジタル業務を覚えさせられることが増えたため」(山梨県・29歳女性)
「書類などが紙から全てデジタル化されたり、会議もZOOMを使用したりしてきたから」(福井県・29歳男性)
●遅れていると感じる理由
「経営上位層の認識が遅れていて、デジタル化に対するメリットの周知が進んでいない」(静岡県・34歳男性)
「DXの重要性が経営層に十分理解されていないため、投資や人材育成が進んでいない。古いシステムを使い続けているため、新しい技術を取り入れることが難しい」(新潟県・43歳女性)
「ほとんどがペーパーで処理されていて、これを変える雰囲気は感じられないから」(奈良県・24歳男性)
「契約書や発行する資料などいまだに紙で取り扱っていることがほとんどで、デジタルに移行しようという取り組みが全くされていないため」(神奈川県・34歳女性)
「取引先がアナログ業務のところが多いため」(大分県・35歳女性)
■デジタル化について約8割がメリットはあると回答
デジタル化によってどんなメリットがあると思うか質問したところ、「特に無い(20.4%)」という人を除く約8割の人が何かしらのメリットがあると感じていることがわかった。1位は「データ管理が楽(49.0%)」と約半数の人が回答。次いで2位には「情報の共有がしやすい(38.2%)」、3位には「仕事のスピードが上がる(37.4%)」がランクインした。
メリットがあると感じている人が多いことがわかったが、DXやデジタル化の流れを職場に推進され、意味のないデジタル化を求められた経験があるか質問したところ、約5人に1人が「何度もある(5.4%)」、「ある(14.0%)」と回答。職場のデジタル化は、社員にとって良い形で進められていない部分もあることがうかがえる。
■デジタル化できていないものは「社内書類の印刷や決裁者の押印」が1位に
デジタル化ができていないものについては「社内書類の印刷や決裁者の押印(36.2%)」に最も多くの票が集まった。「社外向け書類の印刷や契約者などへの押印・郵送(28.2%)」、「FAXの送受信(27.4%)」にも約3割の票が集まり、ペーパーレス化が実現できていない企業もまだまだ多いことがわかった。一方、「全てデジタル化されている(15.6%)」と、デジタル化が進んでいる職場も一定数あるようだ。
●デジタル化が進まず困った・アナログだと感じたエピソード10選
「データ化できないために他人の記載した文字が読めない」(福岡県・37歳男性)
「取引先とのやりとりがFAXのみで、管理が難しくミスが発生してしまうことが多い」(東京都・28歳男性)
「契約書にハンコを貰うためだけに出社した日は非常に無駄だと感じた」(埼玉県・37歳女性)
「手書きの作業が多いため時間がかかる」(埼玉県・53歳女性)
「取引先も高齢またはアナログに慣れている顧客が多く結局はデジタル化が進まない」(岩手県・38歳女性)
「過去の資料を探すときにファイルから紙の資料を探すのが大変」(東京都・38歳女性)
「データで保管すればいいものをわざわざ印刷してファイリングして保管する」(埼玉県・36歳男性)
「情報共有ができず顧客情報に偏りがある」(大阪府・45歳男性)
「経費削減で、備品の購入が厳しくなっているのに、いまだにパソコンで打ち込んだものを印刷してほとんど管理しているので、無駄な書類が山のようにある」(東京都・46歳男性)
「データを渡せばいいのに書類で欲しがるので紙で印刷して渡すなど非効率な作業があったり、上司にハンコをもらいに行ったりなど」(福井県・29歳男性)
デジタル化によって他社とのやりとりに困った経験がある人は3人に1人!
デジタル化できていないもの2位にランクインした「社外向け書類の印刷や契約者などへの押印・郵送」。取引先に合わせてアナログまたはデジタルで対応している職場もあるのではないだろうか。デジタル化によって取引先など他社とのやりとりに困った経験やギャップを感じたことがあるか質問したところ、「何度もある(11.0%)」、「ある(25.4%)」と、3人に1人以上が回答した。
■約3割はデジタル化が進むからこその悩みや困ったことがあると回答
デジタル化が進むからこそ、悩みや困ったことはあるか質問したところ、約3割の人が「ある(7.0%)」、「どちらかというとある(23.8%)」と回答。困った経験について具体的に聞くと、デジタル化についていけず、覚えるまで負担がかかるという声や、人とのコミュニケーションが少なくなったという声が寄せられた。
「非対面が増えたため、会話しながらアイデアを出すことがしにくくなってきた」(兵庫県・54歳男性)
「新しい技術に知識が追い付いていない」(千葉県・44歳女性)
「普段の仕事をやる一方で新しいデジタル技術について学びそれを上手く活用しないといけなくなり、負担が増えて逆に自分の時間が減ったように感じる」(福井県・29歳男性)
「年長者がデジタル化についていけない。結局指導しないといけない。無駄な業務」(福島県・41歳男性)
「デジタル化のための機械や設備の導入に対する費用、または勉強会など慣れるまでに時間とお金がかかること」(岩手県・38歳女性)
「急激に社内でDXが進んだため社内の世代間のギャップが起きている」(東京都・22歳女性)
「人間関係における対面でのコミュニケーションが少なくなり、その分の意味をくみ取るのが難しい」(東京都・44歳男性)
「雑談が減り、連絡する内容は業務に関するものだけなので少し殺伐とした空気を感じる」(東京都・29歳女性)
業務を行う上で、メールでの連絡であったため、気付かなかった・理解できずに困った経験がある人は「何度もある(8.2%)」、「ある(24.8%)」を合わせて、約3人に1人いることがわかった。