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「スーパーフレックス制度」における1日の最低勤務時間と「フレックス制度」との違い

2024.06.06

社員が家庭事情や体調などの都合に合わせて柔軟に働ける「スーパーフレックス制度」。勤務時間を比較的自由に決められることから、導入を進める企業も増えている。

しかし、従来のフレックス制度との違いや裁量労働制との違いを認識しておかないと、後々になってトラブルになる恐れがある。こちらの記事では、スーパーフレックス制度の特徴やメリット、フレックス制度との違いについて解説する。

スーパーフレックス制度とは

スーパーフレックス制度とは、「勤務しなければならない時間」が決められていないフレックス制度だ。

例えば、「午前9時から午後9時までの間で、自由に始業・終業時刻を決められる」という仕組みだ。

スーパーフレックスは「フルフレックス」と呼ばれることもある。基本的に、両者は同じ意味合いで使われる。

一般的なフレックス制度には、勤務しなければならない「コアタイム」と、社員が始業と終業を自由に決められる「フレキシブルタイム」がある。スーパーフレックスは、コアタイムがなくフレキシブルタイムのみで構成されているイメージだ。

実際に、スーパーフレックス制度の導入企業として、ビール製造大手のアサヒグループホールディングス株式会社がある。スーパーフレックス制度を導入し、社員が能力を発揮できる工夫を取り入れている。

今後ますますスーパーフレックス制度の認知度が上昇し、実際に事業面で好影響をもたらす事例が増えれば、導入する企業が増えると見込まれるだろう。

※出典:厚生労働省「長時間労働削減に向けた各企業の好事例~「働き方・休み方改善ポータルサイト」掲載例~」

スーパーフレックス制度の1日の最低労働時間・中抜けはどうなる?

スーパーフレックス制度に、1日の最低労働時間の定めはない。労働基準法で定められている「1日8時間、1週間40時間」という法定労働時間の枠組みで総労働時間を設定すれば、1日の労働時間は社員が自由に決められる。

業務中の中抜けも、労働者の自由にゆだねられている。そもそも働く時間が自由な制度である以上、都合に合わせて中抜けをしても問題ない。

例えば、「PTAの手伝いをしなければいけないから、一旦抜けてまた戻ってくる」のように、柔軟に対応できる。

スーパーフレックス制度とフレックス制度・裁量労働制の違い

スーパーフレックスと似た制度に「フレックス制度」と「裁量労働制」がある。それぞれの違いについて、詳しく解説する。

■スーパーフレックス制度とフレックス制度の違い

スーパーフレックス制度とフレックス制度の違いは「コアタイムがあるか」だ。

フレックスタイム制度では、必ず出勤しなければならない「コアタイム」が設けられている。フレックス制度では、コアタイムに出勤していれば、始業時間と終業時間を自由に決められる。例えば、コアタイムが「午前10時~午後2時」と決められている場合、午後2時になったら帰宅しても問題ない。

一方で、スーパーフレックス制度にはコアタイムが設けられていない。必ず出勤しなければいけない時間帯がないことから、社員は都合に合わせて働く時間を自由に調整できる。就業規則で定められた時間内であれば、朝からでも夕方からでも働ける点が特徴だ。

■スーパーフレックス制度と裁量労働制度の違い

裁量労働制は、労働時間を「みなし」で事前に決める仕組みだ。

外勤営業に従事している社員や高度な研究開発を行っている職員など、仕事の成果や実績で評価をするケースにおいて活用される。

裁量労働制では、実際の労働時間が事前に決めたみなし時間より短かったとしても、みなし時間分働いたとみなす点が特徴だ。例えば、事前にきめたみなし労働時間が1日8時間で、実際に労働時間が7時間でも、8時間分働いたとみなす。

一方で、スーパーフレックス制度は働く時間が自由なだけであり、実際の労働時間はきちんと管理しなければならない。法定労働時間を超えて労働した場合は、残業代が発生する。いずれも、仕事の進め方や働く時間を柔軟に決められる点は共通しているが、労働時間の管理方法・カウント方法が異なる。

※出典:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」

スーパーフレックス制度の導入企業で働くうえでの注意点

スーパーフレックス制度は自由度が高くメリットが大きい制度ではあるが、以下のようにデメリットも存在する。

■社内のコミュニケーションが取りにくい

スーパーフレックス制度では、チームのメンバーが「いつ働いているのか」を把握しづらく、コミュニケーションが取りづらくなる。

相談したいときに、いつでも相談できるとは限らない点はデメリットといえるだろう。

チャットでのやり取りの返信がなかなかこないケースや、リアルタイムのミーティングをする際にメンバーの都合を調整しなければならないケースが発生し得る。

■勤怠管理が複雑になる

特に、人事や労務管理の部署で働いている方にとってのデメリットだ。フルフレックス制度でも労働時間の管理はきちんと行わなければならないため、勤怠管理が複雑になる。
社員によって始業時間と終業時間がばらばらだと、労働時間の管理が煩雑化する。勤怠管理システムを導入しないと、人事や労務管理のスタッフは業務負担が増えてしまうだろう。

■自己管理を厳しく行う必要がある

スーパーフレックス制度を導入する企業では、自己管理を厳しく行う必要がある。スーパーフレックス制度は稼働時間を社員の裁量に任せる制度だが、業務の中で「付加価値を提供する」という仕事の本質部分は変わらない。

つまり、フルフレックス制度の導入企業で勤務する場合は、自分自身が最大限のパフォーマンスを発揮できるように自己管理することが求められる。優れた成績を残している社員と、自己管理が甘く大した成績を残せない社員がいる場合、人事評価に明確な差が出るだろう。

「自分のパフォーマンスを高められる時間はいつか」「家庭事情で稼働できない時間がある中で、どのように時間をやりくりするか」など、きちんと自己管理を行うことが欠かせない。

まとめ

スーパーフレックス制度は、社員が柔軟に働けるだけでなく、生産性の向上が見込める制度だ。導入企業も増えていることから、今後ますます注目が高まっていくと考えられる。

多様な働き方を実現できるメリットがある反面、いくつか注意すべきデメリットもある。スーパーフレックス制度の仕組みや特徴、企業の導入意図を理解することが重要といえるだろう。

文/柴田充輝
厚生労働省、保険業界、不動産業界での勤務を経て独立。FP1級、社会保険労務士、行政書士、宅建士などの資格を保有しており、特に家計の見直しや資産運用のアドバイスのほか、金融メディアで1000記事以上の執筆を手掛けている。

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