2023年に話題をさらった企業SNSの “その後” を調査してみた
ここからは、2023年に注目を集めた日本の企業SNSによるエイプリルフール企画と、その後日談を紹介する。
(1)プッチンプリン【公式】さんの『ンチップンリプ』
\ カラメル好きのみなさまに朗報! /
カラメルとプリンの比率が逆になった!?
その名も… #ンチップンリプ 🍮✨
本日4/1より発売!カラメルを心ゆくまで堪能してください🤤❤#エイプリルフール pic.twitter.com/yhyd8R6YDP
— プッチンプリン【公式】 (@glico_PPPR) April 1, 2023
<プッチンプリン【公式】(@glico_PPPR)さんのX投稿より>
1972年の発売以来、昔ながらの味わいと「プッチン」する楽しさで根強い人気を誇るプッチンプリン。そんなプッチンプリンから、カラメル増し増しの『ンチップンリプ』がついに登場!…という、いかにも「あり得そう」なエイプリルフール企画だ。
カラメルとプリンの比率が逆になった本品は、カラメル好きにはたまらない黒いプリンに仕上がっている。
プッチンプリンを含む人気菓子や乳製品などを展開する大手食品メーカー「江崎グリコ」の担当者の方に反響を伺ってみたところ、該当の投稿をした4月単月でフォロワー数は約9.6万人から約10.9万人へと増加したという。
―――投稿している画像はCGでなく、実際に作ってみた、という部分にこだわりがありました。Xでは、「どうやって作ったのか?」「もしかしたら合成なんじゃないか」といったお声をいただいたので、4/4に追加で裏話の投稿もさせていただきました。(江崎グリコ ご担当者さま)
多くのいいね、コメントありがとうございました!
この商品、研究員が実際に試作したのですが、本来の配合でつくるとカラメルが柔らくて潰れてしまうため、撮影用に固めたものなんです…
食べたいと言ってくれた皆さん、ごめんなさい😢
ぜひ本物の「プッチンプリン」をお楽しみください🍮💕 https://t.co/M2zv7je1Vb— プッチンプリン【公式】 (@glico_PPPR) April 4, 2023
<プッチンプリン【公式】(@glico_PPPR)さんのX投稿より>
■取材協力:江崎グリコ株式会社
Web
X(プッチンプリン公式)
(2)パインアメの【パイン株式会社】(公式)さんの『パインアメストロー』
本日発売!
パインアメストロー🥤環境に配慮したパインアメで出来たストローです。
ドリンクを飲んだ後は、キャンディとして美味しくお召し上がりいただけます。ぜひ一度ご使用くだパイン◎#エイプリルフール #uso pic.twitter.com/WPwujYQcVj
— パインアメの【パイン株式会社】(公式)🍍 (@pain_ame) April 1, 2023
<パインアメの【パイン株式会社】(公式)(@pain_ame)さんのX投稿より>
真ん中に穴のあいたカットパインの形に、甘酸っぱいパイン味、そして鮮やかな黄色が特徴のパインアメは、1951年から世代を超えて愛され続けてきたアメちゃんだ。
そんなパインアメの中の人がエイプリルフールにつぶやいたのは、パインアメでできた『パインアメストロー』のリリースだった。パインアメの形状を活かしたナイスな商品で、嘘だとわかっていてもつい「使ってみたい」と思ってしまう。
多くの反響があったこの投稿について、パインアメや関連商品を展開する菓子メーカー「パイン」のご担当者の方にお話を伺った。
―――「紙ストローよりパインアメストローにしたら幸せなのに」「こんなの欲しかった!」「炭酸水に合いそう」など大変好意的なお声をたくさんいただきました。商品化を望んでくださる声もあり、あるYouTuberの方は飴を熱してくっつけてリアルにストローを作る動画をアップしてくださっていました。社内で「面白かったよ」といってくれる人もいましたが、毎年社内より社外の方が盛り上がっています。(パイン ご担当者さま)
■取材協力:パイン株式会社
Web
X(パインアメ公式)
Instagram(パインアメ公式)
(3)スシローさんの『スシローロゴ変更のお知らせ』
【スシローロゴ変更のお知らせ】
あのー…実は、もう令和5年なんですね!?
Z世代の後輩に『ロゴ、そろぼちキャワにしません?w』て言われて、ダメ元で上司に相談したらOKもらえたので、ロゴとヘッダー変えてみました!
どうですか??可愛くないですか??????#エイプリルフール pic.twitter.com/VQfwzzsbJS
— スシロー (@akindosushiroco) March 31, 2023
<スシロー(@akindosushiroco)さんのX投稿より>
回転寿司チェーンの国内トップをひた走るスシローの公式Xからは、馴染みあるロゴをZ世代向けに変えるというセンセーショナルなニュースが発信された。
それも、これまでのシンプルなものとは打って変わったネオンカラー。ポップなフォントを使用した、かなり「キャワ」なデザインだ。新ロゴ発表動画は1,446.8万回(2024年3月時点)まで再生回数を伸ばし、エイプリルフールのXを騒がせていた。
このエイプリルフール企画動画の反響について、スシローを運営する「あきんどスシロー」をグループ事業会社に持つ「FOOD & LIFE COMPANIES」のご担当者の方にお話を伺ってみた。
―――こちらの投稿は「エイプリルフール」に話題化を狙ったコミュニケーション投稿でした。Xには個人ユーザー以外にも、数多くの企業アカウントが存在し、ユーザーへの情報発信、モーメント・オケージョンに合わせた投稿などを通してX上のユーザーとコミュニケーションをとっていると思います。
なかでも「エイプリルフール」は多くの企業が、話題化やユーザーとのコミュニケーションを狙う大きなモーメントだと捉えておりまして、スシローとしても何かユーザーの皆さまにお楽しみいただけるような投稿ができないか?と考えておりました。
最初は「こんな新しい商品できました」「こんな所に新しい店舗を作ってみました」など考えていたのですが、あまりオリジナリティがなく…スシローっぽくないな。と考え直しまして「スシローって何が特徴的 かつ 印象深いんだろう」と振り返った時に「ロゴだな、ロゴを変えよう!」と思ったのがスタート地点です。
そこからは「どんなロゴにするか?」を考えるステップに移りましたが、様々な議論の中で、α・Z世代の方々を中心にトレンドの「ニュートロ」の代名詞でもある “ネオンサイン” でスシローロゴを作ってみよう!と、制作に至りました。
発表する際も「ロゴだけ投稿するのも面白くないな」と思ったので、正式なスシローロゴの顔の人が新しいロゴを発表するという少しカオスな世界観を演出してみました。
結果として多くのユーザーの方から「誰の投稿かと思ったらまさかの公式w」「めちゃくちゃ可愛い」「本当にこのネオンサインの店舗作ってほしい」「グッズ化とかプレゼントキャンペーンしてほしい」など想定以上の大きな反響をいただきました。
社内でも「あの投稿見たよ、めっちゃバズってたね」と普段お話しない方からお声がけいただいたり、お取引先様と商談させていただく際に「あのエイプリルフールの投稿どなたが考えられたんですか?」などお話いただいたりと身近な方々からのリアクションも嬉しかったです。
今後も多くのお客さまにスシローの投稿をお楽しみいただけるように努めたいと思います。
■取材協力:株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
Web(株式会社FOOD & LIFE COMPANIES)
Web(株式会社あきんどスシロー)
X(スシロー公式)
エイプリルフールは企業×ユーザーのコミュニケーションイベント
企業とユーザーを繋ぐコミュニケーションイベントと化したエイプリルフール。
多くの企業ではエイプリルフール企画とわかるようなハッシュタグをつけたり、混乱を招かないよう4月1日の午後にはネタばらしをしたりと、 “嘘” 企画を平和に楽しめる日になっている。
身近な人とちょっとした嘘をつきあって楽しむのもよし、企業のエイプリルフール企画に乗っかるのもよし。4月1日は国内外のニュースやSNSをチェックして、ぜひ平和にエイプリルフールを楽しんでもらいたい。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.