<転職前後の年収変化>半数以上が年収アップを実現する一方、全体に比べると下がるケースも多い
転職前後の年収変化を見ると、年収アップを実現した40歳以上の転職者は50%を超えることがわかった【図5】。一方、年収が減少した人の割合は全体と比較して7ポイント高く、年収が下がるケースも多く見られた。
【解説】
ミドル層はもともとの給与水準が高いことから、転職先の業界やポジションによって決定年収が左右されやすくなっている。年収が上がる・下がるケースについて実態を紐解いてみるとそれぞれ大きく3つのパターンに分けられる。
■年収が上がるケース
(1)年収水準が高い業界に転職した (2)即戦力として専門性が評価された (3)前職よりも上位の役職に就いた
■年収が下がるケース
(1)年収水準が低い業界へ転職した (2)異業種・異職種転職にチャレンジした (3)やりたいことを優先した
企業から専門性を評価され、年収アップを叶える人が多くいる一方で、年収よりやりたい仕事への挑戦を自ら選ぶ人も少なくない。また、現職での年収が高いほど、転職時の年収アップのハードルも高くなり、転職直後は横ばいもしくは微減しやすい傾向にある。こうした実態から、転職における年収増減は2極化していると考える。
なお、異業種や異職種への転職であっても転職前後の年収増減の比率は大きく変わらなかった【図6】。これは、異職種パートで前述したように、一定の専門性をもって転職するパターンが多いためだと推測される。
【doda編集長 総括】
ここ数年、各社の事業・業態変革の流れから、ミドル層の採用ニーズが高まっている。それに伴い、転職を視野に入れる個人も増えてきた。しかし、他の世代以上に専門性を重視されるミドル層は、マッチングの難易度が高いのが実態だ。そんな中、納得のいく転職を叶えるためのポイントは大きく2つあると考えている。
1つめは、転職をせざるを得ない状態になる前に、1度行動してみること。なぜなら、焦りが生まれると選択肢が狭まってしまうからだ。すぐに転職意向がない場合でも、まずは情報収集や市場価値を図るために動き、視野を広げてみることで現職への向き合い方も変わってくるのではないだろうか。
2つめは、自分が1番重視したいものはなにか、立ち返って考えること。年齢が上がるにつれて守りたいものが増えると、キャリアが凝り固まりやすくなる。「年収アップ」「やりたい仕事への挑戦」など何を重視しても間違いではない。今後のキャリアや人生において何に重きを置くかを考え、選択することが、納得感のある転職に繋がるだろう。
今後のキャリアについて考えている人は、これらを踏まえながら、自身が本当に望む「はたらく」を叶えられる環境はどこか、考えてみてはいかがだろうか。
<調査概要>
※対象期間を「2019年」から「2023年」へ修正している(2024年3月8日)
対象者:2023年7-12月の期間に「doda」のエージェントサービスを利用して転職した個人
雇用形態:正社員
※異業種・異職種転職実態:転職者の転職前の業種・職種と転職後の業種・職種を比較
※転職前後の年収変化:個人の転職前時点の年収と、転職を受け入れる企業が採用決定時に個人に提示する決定年収を比較
出典元:転職サービス「doda」
構成/こじへい