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締め切りギリギリまで自分を追い込むのはもうやめよう!「仕事の質」を高める3つの戦略

2024.04.17

皆さんは、仕事で〝ギリギリの状態〟になったことはありませんか? 期限が迫り、タイムプレッシャーに追われ、心臓がドキドキして、頭と心が疲れ果ててしまう……。そんな経験、誰しもが一度はあるでしょう。タイムプレッシャーに追われ、切迫した期限に間に合わせるために、心身ともに限界までエネルギーを振り絞るような事態は、できるだけ避けなければなりません。

〝ギリギリの状態〟は、普段使わない筋肉を酷使しているのと同じだと言えます。人間の筋肉は、実は下半身に7割も集中しているのをご存知ですか? 逆に言えば上半身、特に背中や肩甲骨まわりの筋肉は普段あまり使われていません。だからこそ、急に負荷がかかると、疲労が蓄積しやすくなるのです。

このことと同様に、仕事における〝ギリギリの状態〟は日頃使わない「重要なことに絞る力」を、期限が迫った状況で一気に使わなければなりません。普段鍛えていない脳の筋肉を酷使する状態が続けば、心身ともに疲弊してしまうのは必然なのです。

今回は、そのような〝ギリギリの状態〟に陥らないための戦略を紹介しましょう。

戦略(1)自分なりのデッドラインを設定する

多くの人は、与えられた期限ギリギリまでがんばることを美徳と考えがちです。しかし、それは長距離をつま先立ちで走り続けるようなもので、おそらく20分ももたないでしょう。大切なのは、つま先立ちするタイミングを自分で決めること。上司や顧客から与えられた期限よりも少し前に、自分なりのデッドライン(期限)を設定するのです。

自分なりのデッドラインには〝内発的動機づけ〟を引き出すという、心理学的によい効果があります。本来のデッドラインは他者から課せられたもの。つまり〝外発的動機づけ〟に基づいています。一方、自分なりのデッドラインは、自らの意志に基づく〝内発的動機づけ〟によって設定したものと言えます。

〝内発的動機づけ〟は〝外発的動機づけ〟に比べて、はるかに強い推進力を生みます。自ら目標を設定し、納得して取り組んでいるという実感が、高いパフォーマンスを生み出す原動力になるのです。「やらされている」のではなく「自分からやっている」。両者のマインドセットの違いは、仕事の質を大きく左右します。

また、自分の期限を設けることで、仕事を計画的に進めることができます。本来の期限との間に余裕を持たせることによって、不測の事態にも対応しやすくなるでしょう。トラブルが発生しても調整する時間的猶予があり、追い込まれることもありません。

自分の期限を意識することは、主体的に仕事をコントロールすることでもあります。受け身ではなく能動的に、自分の仕事や人生の舵を取っているという感覚があれば、何事に対してもポジティブな姿勢で取り組むことができるのです。

戦略(2)仕事をさっさと始める

期限間際の〝ギリギリの状態〟で仕事をすることを避けるためには、仕事の取り掛かり、つまり初動を早めるのが効果的です。スタート地点で強い加速をつけられれば、その勢いを維持しながら作業を進めることができます。

最初の一歩がなかなか踏み出せない人におすすめなのが「2分間だけでも作業に取り組む」という方法です。2分間だけなら、心理的なハードルも低く、誰でも簡単に実行できるでしょう。

肝心なのは、その2分間で「具体的な進捗」を生み出すこと。例えば情報収集であれば、関連資料やWebサイトなどをただ眺めているだけでは意味がありません。閲覧しながらメモを取るなど実際に手を動かし、アウトプットすることを意識しましょう。

文章なら1段落目を書き上げる、資料なら1ページ目を作成する、といったことでも構いません。どんなに小さくても「具体的な進捗」を積み重ねることがポイントです。

2分間の集中で「具体的な進捗」を実感できれば、それが次のアクションを誘発します。「よし、あと5分だけがんばろう」と、自然と作業を継続したくなるもの。2分が5分に、5分が30分に……。いつの間にか、作業に没頭できている自分に気づくはずです。

大切なのは、最初の一歩をすぐに踏み出すこと。それを習慣化すれば「さっさと始める」ことがあなたにとって仕事のスタイルの一部になります。スタートダッシュは、生産性を向上させて自己効力感を高める好循環を生み出してくれるのです。

戦略(3)疲れる前に休む

エネルギッシュに仕事をするためには「疲れる前に休む」ことが何より大切です。集中して没頭する一方、こまめに休憩を取り入れましょう。

理想的なのは「45分集中したら5分休憩する」というサイクルです。人間の集中力は45分でピークを迎え、そこから低下していくと言われています。エネルギー効率を最大化するには「45分の集中」と「5分の休憩」を繰り返すリズムが効果的なのです。

5分の休憩中は、仕事とは異なる刺激を取り入れるのがポイント。軽いストレッチをする、好きな音楽を聴いてリラックスする、瞑想でマインドフルな時間を過ごすなど、自分なりのリフレッシュ方法を見つけて、オンとオフのメリハリをつけましょう。

脳科学的にも、休憩の重要性は実証されています。DMN(デフォルトモードネットワーク)という脳の神経ネットワークは、ぼんやりしている時に活性化し、創造性や発想力が高まると言われています。

つまり休憩は、単なる無駄な時間ではありません。次のアクションに向けて、頭と体をリセットする重要なプロセスなのです。疲れを先送りせず、早めに休む習慣をつけることが、最高のパフォーマンスを生み出す鍵となります。

これらの戦略は、私自身も実践しています。ギリギリの仕事にならないよう、自分なりのデッドラインをもとに、朝6時には仕事を開始する習慣を身に付け、疲れていなくても休憩をするようにしています。
そのような行動によって精神的なプレッシャーから解放されると、誤字脱字といったミスが減り、新たな企画の策定や新事業の開発支援などに対して、より多くの時間を割けるようになりました。

皆さんにも、ぜひギリギリの仕事から卒業して、クリエイティブな時間を楽しんで頂ければと思います。

文/越川 慎司
全員が専業禁止、週休3日の株式会社クロスリバーの代表取締役社長。800社超の働き方改革を支援している。仕事のタイパを上げるオンライン講座の実施は年間400件以上。自著29冊、最新刊『最速で結果を出す超タイパ仕事術』(小学館)が好評発売中。

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