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マイナンバーカードから生成AIまで!着実に進行する社会のDX、この3年の軌跡を追う

2024.03.19PR

Web3に求められているインターフェースとは?

 ビットコインの価格が1BTCあたり1,000万円を超えた昨今、もっと暗号資産やブロックチェーンが盛り上がっても良いはずですが、逆に最近めっきり聞かなくなってきたキーワードが「Web3」です。2021年〜22年あたりのNFTでの熱狂はまるで嘘だったかのようです。

 しかしこれは衰退したということではなく、概ね技術的理解が進んで使用法が固定されてきたということと、流行のうちにフィットするUIが世に出てこなかったということの2つがあると思います。

 例えばWeb3でかなり期待されているDAOですが、DAOやそれに含まれるスマートコントラクトの最たる物は「ビットコイン」の仕組みであり、それ以外の使い方で組織を構築しようとしても、中央集権型の意思決定システムにまだ分があるということが言えます。

 またブロックチェーンの使途として暗号資産やNFT、SBT以外では、ポピュラーになりきれていないというところも気になります。「フィットするUI」と書きましたが、生成AIとチャットインターフェースの相性が意外にも良かったように、ブロックチェーンに最適なUIは従来のウォレットではなく別の姿にある可能性が高いです。

 例えばどんなものが考えられるかというと、ブロックチェーンの肝は公開鍵暗号方式にありますので、マイナンバーカードに含まれている秘密鍵とコンビニにあるカードリーダーの組み合わせが最も身近なブロックチェーンへの入口になるかもしれません。そこを起点として、連綿とした個人の「履歴」がセキュリティの高い状態で辿れるなら、ブロックチェーンに紐づけられたデータの存在価値は高まります。

 トークンエコノミー(クリプトエコノミクス)を考えるとどうしても演算コストが脳裏をよぎりますが、もともとそういうものとは無関係のジャンルから辿っていくことで、最もパフォーマンスの高い活用法を暗号資産以外で模索することが、今後の発展を左右すると言えるでしょう。

 こちらも小説では、ブロックチェーンデータをキーとして、市町村が持つ住民情報をアプリケーションでハンドリングしている状況を描いています。堅牢性を量子コンピュータと国を縦断する量子ネットワークで担保しているのですが、こういった設定は将来的に広域で震災が起こった後にどういうアプローチで復興するのかを予想し、分散処理の重要性が高まるのは当然としつつも、基幹部分は現代の科学の延長線上で最も堅牢なネットワークを構築するだろうと踏んで行っています。

 社会の要請によって、どの技術が最適かという視点は大きく変わります。社会が今すぐ変わらなくても、変わることを予期して自分を変えていく、行動変容させていく、というのもDXの重要なポイントです。

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メタバースの効果的な活用は?

 私は自治体の顧問を兼ねる形で、政策研究として自治体におけるメタバースの活用をテーマに取り組んでいるのですが、こちらもWeb3同様に使い方の道筋がついてきたと考えています。ブームが一段落したことで、ツールとして何に用いるのが有効なのかについて客観的なスポットライトを当てることができるようになったのです。

 メタバース上に現実のランドマークを模したオブジェクトを制作してプレスリリースを打つということで耳目を集める時代は過ぎたということでもあります。

 物理的な距離や土地の広さを気にしなくて良いことや、現実の資材が不要なこと、アバターの操作者が国内のどこにいても構わないこと、本名や属性情報を明かす必要がないこと、ありたい姿になれること、インすれば誰かがいてコミュニケーションをとれること……etc. こういった利点が可視化され、理解されるようになったことで、「何ができるかはわからないが有用そうなメタバース」から「現実の課題に合わせて作り変え、使い分けるツール」へと変容したのです。

 もちろん、コミュケーションプレイスとしての活用法だけでなく、デジタルツインの用法では現実のシミュレーターとしても進歩を続けていますし、VRや3Dグラフィックに依らずとも、簡素なグラフィックで映像チャットやグループウェアと組み合わせることでテレワーク用のバーチャルオフィスにするなど、いかにもな”メタメタしい”見た目でなくても良いのではないかという動きもあります。

 こういった流れは、比較的新しい技術ではいつも繰り返されていることで、まず目新しさやアーリーアダプター層の尖った使い方に先導されながら、段々と地に足のついた使われ方をしていき、機器が安価になったり利用のハードルが下がったところで一気に普遍的になっていくものです。20年後の近い将来ということで、小説内でもいくつかのアプローチで登場させていますが、VR研修に用いたり、一般市民が気軽に入れて行政からもコントロールしやすい知事会見の場所としたり、あるいは震災で失われた場所や世を去った人々をメモリアルに再現するバーチャル空間としたり、現実には保存しきれない文書を仮想化したりを描いています。

 誰もが使うようになったとき、わざわざそれを「メタバースだ!」と指差して驚くことはなくなると思いますが、今後も期待できる分野と言えるのではないでしょうか。

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