「おんせん県」大分県の外国人誘致術
ところで銭湯とくれば、次は温泉も気になる。温泉の魅力を外国人に訴求するにはどんなポイントがあるのか。
日本で温泉を観光資源として活用している地域は多いが、とくに「おんせん県」と名乗る大分県に、インタビューを試みた。
公益社団法人ツーリズムおおいたの誘致営業部海外誘致課長 川上武士氏は次のように答えてくれた。
――大分県の目玉である温泉について、外国人観光客にはどのような点が好評ですか?
「大分県では温泉は入浴するだけでなく、見て楽しむ『地獄めぐり』や食べて楽しむ『地獄蒸し』などがあり、五感すべてで温泉を感じることができます。そのため、入浴目的の方からそうでない方まで、幅広く楽しんでいただくことができます」
水面が海のようなコバルトブルーに見える「海地獄」や、血の色のような「血の池地獄」などが楽しめる「地獄めぐり」は観光スポットとして人気だという。
また「地獄蒸し」は温泉の蒸気を使って地元の食材等を楽しむことができるユニークな名物料理だ。
ーー外国人観光客向けに、温泉の魅力を知ってもらうためにどんなことを工夫していますか?
「各国で開催されている旅行博への出展や、現地でのセミナー開催、またYouTube『沸騰大分』での紹介やSNSでの情報発信など、できる限り多くの方に大分県の魅力を知っていただきたくPR活動を行っております。
大分県を訪れる外国人観光客の中心は韓国や台湾といった東アジアからとなっており、欧米豪の方への大分県の知名度向上と温泉の魅力をいかに広く周知していくかが課題であり、現在取り組んでいます」
リアルイベントやインターネットを通じて、まずは「知ってもらう」ことが重要。その上で、ユニークな文化をあえて取り上げることもポイントであるようだ。
日本の銭湯や温泉は、ぜひ世界に広めたい魅力的な観光資源。ポイントを押さえて訴求していきたい。
文/石原亜香利