グローバルデータはコロナ後のEC(E-Commerce:イーコマース、電子商取引)市場に関する大規模調査を行った。中心となって調査を行ったのが小売部門のマネージングディレクター、ニール・サンダース氏である。サンダース氏はサウサンプトン大学のビジネス・法学部の諮問委員、ニューハンプシャー大学の名誉講師、サリー大学の客員フェローを務めているECの世界的権威でもある。
今回はサンダース氏に世界と日本のEC市場の現状や将来について、聞いてみた。
世界のEC市場はコロナ禍後、やや鈍化傾向に
――世界のEC市場の現状について、簡単に教えてください。
サンダースさん 世界のEC市場は依然として堅調ですが、パンデミック時に急成長した後、成長がやや鈍化しています。
消費者は現在、ほぼ以前の習慣を取り戻し、コロナ禍以前より多くの人がオンラインで買い物をするようになりましたが、多くの消費者が実店舗の利用にも戻っています。
世界で最も急成長しているのは、消費者がオンラインと実店舗の両方を利用してニーズを満たすマルチチャネルであり、多くの小売業がこの分野に投資しています。
――このほど、ECに関する大規模調査を実施されました。
サンダースさん 2022年末から2023年初めにかけて、調査を実施しました。今回は日本、オーストラリア、インド、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムの合計7,000人の消費者を対象として調査し、また、パンデミック発生以来実施している82,500人の追跡調査のデータも、使用しました。
私たちの調査では国別に、オンラインで実施されています。調査プロセスで最も難しいのは、正確な情報と分析可能なデータを取得できるように、調査を設計することです。当社はこれに取り組む専門調査チームがいます。