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月面で大活躍したタカラトミーの超小型ロボット「SORA‐Q」、ブレイクスルーとなった動物の動きとは?

2024.03.05

カメの上下の動き、“それだ!”

そんな試行錯誤を重ねたある日、渡辺公貴が一つのイメージを思いつく。

「カメの動き、特に卵から孵った直後とか、全体を上下させるあの動きならお腹が月面に付いても、すぐに離すことができる」

タカラトミーの『ゾイド』は、恐竜や動物をモチーフにした組み立て式駆動玩具のシリーズだ。そのシリーズの中に“モルガ”というイモムシ型の玩具があるが、

「“モルガ”は、ウミカメと同じような動きをする。曲線の車軸の中心から車輪をずらしてやれば、本体を上下させることができる」

「本体を上下できれば、月面に付いたソラキューのお腹を毎回、リセットできるぞ」

それだ!

渡辺と米田は笑みを浮かべた。難問を解決する糸口を見つけた瞬間だった。

ウミカメのように本体を上下させて移動すれば、30度の傾斜も上れる。月面がお腹について動けなくなる問題もクリアできる。

最初のブレイクスルーはソラキューを球型にして、月面でトランスフォーマーの拡張変形を応用する発想だった。本体を上下させてウミガメのように移動する発想は、ソラキュー完成への決定的なブレイクスルーとなった。

米田陽亮は言う。「月面での走行の問題が解決すれば、あとは何とかなると」。拡張変形の仕方を調節し、JAXAが最終的に提示した80mm×80mmの球に、カメラや走行を安定させるためのスタビライザー等を納めた。

(C) TOMY
移動の動きには『ゾイド』のノウハウが活かされた。写真は同シリーズの『シールドライガー』。

おもちゃ感のあるカッコよさ

完成間近の試作機は樹脂製から金属製となった。渋く光る金属製のソラキューを目にしたときのことをプロジェクトリーダーの赤木謙介は語る。

「無機質のものではなく、キャラクターというか、愛着がわくデザインになっている。パカッとまん中が開き、出てくるカメラはソラキューの顔のように感じました。後ろのスタビライザ―はしっぽのようなイメージで、おもちゃ感があります」

(C) TOMY
月面での活動のイメージ写真。左の球状から拡張変形して右の形に。

プロジェクトリーダーとして、おもちゃ会社が宇宙産業に初めて関わった意義を伝えるのも、赤木謙介の大きな仕事だった。彼は子どもたちに、自社が実施するワークショップ等でソラキューの試作機を展示、実演をして「これと同じものが宇宙に行くんだよ」と、子どもたちに声をかけた。

2023年8月、葛飾区内の小学生と保護者を招待し、「SORA-Q打上げ応援イベント」を開催した。

正式な名称はLEV‐2だが、「宙(そら)」と宇宙への「Question(問い)」「Quest(探求)」、横からのシルエットが「Q」に似ているなどから、『SORA―Q』と命名されたのは、赤木がチームに加わってからだ。

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