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引っ込み思案だった芳根京子さんが俳優生活10年の軌跡でたどり着いた答え

2024.03.23

俳優としてのルーツに根づく自分を変えてくれた音楽の存在

「自信のなかった私だけど、〝音楽〟をきっかけに人ってこうも変われるんだっていうことを証明できた気がします」

 芳根さんの俳優人生は、音楽とともにあると言っても過言ではない。

「学生時代は、吹奏楽の部活にすべてを捧げてきました。担当していたのは、小学4年生から続けていたフルート。吹奏楽を通して、たくさんの喜怒哀楽を経験しました。喜んだり、悔しくて泣いたり、友達とぶつかったり……。その分、人と関わる楽しさを知ることもできました。当時の経験がなかったら、今も内気な自分のままだったかもしれません。音楽は、私の青春のすべてなんです」

 初主演を務めたドラマは『表参道高校合唱部!』(TBS系)。〝歌うこと〟を求められるオーディションで、1000人以上の参加者の中から選ばれた。

「オーディションの際、ピアニストの祖母に『緊張して音を出すくらいなら、楽しい顔で歌いなさい』とアドバイスをもらいました。それを実践したら、主演という大役をいただけたんです。音楽は楽しんだもん勝ちなんだなって気づいた瞬間ですね。歌うことは責任重大だけど、うまいへたは自分や誰かの主観でしかないから、〝楽しめているか〟が私にとってはとても大切なことなんです」

芳根京子芳根京子

「実は歌が得意なわけじゃない」と吐露する芳根さんだが、彼女のもとには自然と音楽に関わる仕事が巡ってくる。今年は3月1日(金)公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』で音楽活動をする歌姫「ミーナ」の声を演じている。

「ミーナは私と同じ〝音楽が好き〟という気持ちを持っているキャラクターです。それに加えて〝世界中から愛される歌姫〟でもあるので、プラスなエネルギーを発する表現になるよう心がけました。きっと二度とない貴重な経験だろうと思いながら、気持ちよくやらせていただきました」

 声優として、その歌声も披露した今作。お芝居と音楽──それぞれ表現の仕方は違えど、通じるものを感じたという。

「音楽は、それぞれいろんなパートがあって、どれも決して欠けてはいけない。お芝居も同じ。ひとりで練習している時はすごく孤独だけど、現場に行けばたくさんの人が待ってくれています。作品ができた瞬間は、すごく感動するし、手ごたえを感じますね。音楽もお芝居も、全員が同じ方向を向いてひとつの作品を作り上げていく感覚は、やっぱり私の好きなことだなって思います」

 引っ込み思案だった少女の中に、1本の軸としてあった音楽の存在。「辞めよう」と思う瞬間もあったと話す彼女だが、好きなことを味方に10年間を駆け抜けてきたその表情は、晴れやかで最高にキュートだった。

芳根京子

歌姫・ミーナ役で声優に挑戦!

『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』

『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024

ある日、のび太の前に現われたのは不思議な少女・ミッカ。彼女は音楽【ファーレ】の殿堂を救う音楽の達人【ヴィルトゥオーゾ】を探していた。この出会いをきっかけに、音楽で地球を救うドラえもんたちの大冒険が始まる──。2024年3月1日公開。

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