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警察庁からエンタメ業界へ、異色の経歴を持つCEOが〝異世界転職〟を実現できた理由

2024.04.02

会社と自分の存在意義の〝根っこ〟が揃う仕事を選ぶ

──映画関係の仕事をしたいと思うようになったのはいつ頃ですか。

梅津 マッキンゼーでは本当に忙しく仕事をしていたのですが、3年目くらいの時、映画を見ていて「私はエンタメというか、具体的には映画だ!」と映画好きなことを再確認したんです。でも制作やプロデュースではなく、業界の役に立つ仕組みやサービスを作りたかった。というのも、新卒で国家公務員になったのは、世の中に不可決なインフラに興味があったからなんです。

──その後知人に誘われて会社を設立、今に至るわけですが、梅津さんは躊躇せずに次のキャリアへ飛び込む印象があります。決め手は何でしょう?

梅津 私の場合、警察に行く時も、マッキンゼーも、会社を作る時も、その先がどんな感じなのかわからないけど、なぜかピンとくることやそう思わせてくれる人がいるんですよね(笑)。その感覚を信じ切るためには会社の存在意義と自分の存在意義の重なりを感じられるかどうか、そして自分の根っこを見ることが大事だと思います。会社の条件で、いい処遇や働きやすい人間関係が揃っていることよりも、「自分は何を大切にして働きたいのか」という〝根っこ〟の部分が会社の事業や業務内容と揃っていれば、ちょっと上司がバカでも、仕事がつらくても、寝られない時期があってもがんばれる。

 でもこれはあくまで、自分の人生と仕事の重なりが大きい人の場合ですよ。家族が一番大事でそのために給料が必要な人は、1日8時間の労働を我慢して、残りの16時間が自分にとって良いものになればいい、という働き方もありだと思うんです。どんな働き方にしろ、自分がやりたいこと、守りたいものが見つかるのって、本当に幸せな状況なんですよ。

──では根っこが見つからないという人はどうですか?

梅津 やりたいことがない、よくわからないという状況では、与えられないと仕事ができないということになりがちです。なので、前に進むためにはまず自分の中で仮説を作って、これがおもしろいんじゃないか、自分が納得できる道なんじゃないかと、トライアンドエラーで突き進んでみるしかないと思います。もし、その仮説が違ったらまた新しく仮説を立ててやっていく。自分自身の根っこを理解するためには、それを繰り返すほかないと思います。

CAREER TRANSITION

【CAREER 1】警察庁時代 1997~2002

警察庁の研修ではハチ公前広場にある渋谷駅前交番や千葉県警での勤務を経験後、本庁で白書や大臣答弁のための想定問答などを作成する企画職として働く。2000~2002年に警察庁の留学制度を利用しニューヨークへ留学、法律を学んだ。同時期に出会ったマッキンゼーの採用担当者の言葉で転進を決意。

【CAREER 2】マッキンゼー時代 2002~2007

5年半働いた激務のマッキンゼー時代は、製薬から製造業、公共インフラまでさまざまなクライアントを担当。本人曰く「とてつもなく不幸なフランス映画」を見ることが息抜きだった。フェーバリットという『嫌われ松子の一生』は映像美に感銘を受け、映画館で5回鑑賞したという。

【CAREER 3】GEM Partners 創業 2008~

映画好きを再確認した梅津さんはマッキンゼーに勤務しながら夜間の映画専門大学院大学で映画について学んだ。こうした中で、映画関連ベンチャーの立ち上げメンバーとして声をかけられ、退職後の2008年GEM Partnersを設立。一時の苦境を乗り越え、現在は20名以上の精鋭が集まっている。

自分がやりたいことが見つかるのって、幸せな状況なんですよ

梅津 文さん

何を信じているのかという問いがどんな仕事をするかの根っこになる
梅津 文流 キャリアの極意

・自分が興奮することはない、と感じたら変化のサインかも?
・会社と自分の存在意義(根っこ)は何かを見つめ直す
・トライアンドエラーを繰り返し、自分が楽しめる方向へススメ!

取材・文/成田 全 写真/平岩 亨

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