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警察庁からエンタメ業界へ、異色の経歴を持つCEOが〝異世界転職〟を実現できた理由

2024.04.02

総務省統計局の「労働力調査」によると、年間の転職者は300万人を超える。今や「当たり前の選択肢」となった転職だが、いざ自分事になった時、大きな決断にひるんでしまう人も多いのではないだろうか。今回、「警察」と「エンタメ」という正反対の職業を渡り歩いてきた、梅津文氏に「幸せになれる仕事」とは何かを聞いた。

梅津 文さんGEM Partners 代表取締役
梅津 文(あや)さん
1997年、東京大学法学部卒業後、警察庁入庁。研修修了後、国際犯罪、中央省庁再編に係る予算・組織などの企画業務に携わる。2000年にニューヨーク大学ロースクールにてLL.M.(法学修士)取得。2002年にマッキンゼーに入社。通信・メディア業界研究グループにおいて新規事業を担当した。2008年にGEM Partners株式会社を設立・代表取締役就任。

警察庁キャリア官僚からマッキンゼーへ

──新卒での警察庁入庁のきっかけは、大学の先輩からの説明会参加のお願いだったそうですね。

梅津 目標だったサークルのテニスの秋大会が終わって燃え尽きて、就職のことは何も決めていない、毎日映画を見て過ごすモラトリアム状態の学生でしたので、そのお誘いに「はいはい」とついていきました。その時、説明会の前に警察庁の人事課の方と駅前で待ち合わせたら、目の前の交差点を渡っていた人がハンカチをポトッと落としたんです。するとその方がパーッと行って、拾って渡してあげたんですよ。周りを見て、何かあったらすぐに人を助けるために動く姿にいたく感動したんです。また当時、警察庁に国際的な犯罪に対応する機能を強化したいという意向があり、帰国子女で海外と接点を持ちたいと考える私が活躍できる、という話を聞いたことも大きかったですね。

──入庁後、国家公務員の留学制度でニューヨークで法律を学ばれました。

梅津 父が外交官で、私は日本で生まれた後、アメリカやインドなどに住んだのですが、中学生の時はニューヨークにいました。でも英語も上達せず、つらい思い出のほうが多くて、そのことにリベンジしたい気持ちと、海外と日本の架け橋になることに対する、強い思いがありました。

──その留学先で転職することを決めたのですか。

梅津 日本では忙しかったんですが、考える時間ができたんですね。目の前に光る道があって、先を約束されていてやりがいはあるけど、私がここでエキサイトすることはないなと。それでコンサルのことなんて何もわからないままマッキンゼーの方に会いに行ったら、「私はキャリアを5年ずつに区切って、5年がんばったら次何をやっていこうかと考えている」と話していて衝撃を受けたんですよ。私は父の影響で「仕事に一生懸命取り組んで社会のために価値あることを成し遂げること」と「自分でキャリアをデザインして自由に生きること」は両立しない、ビジネスパーソンとして成長するには何らかの不自由があって、組織やパラダイムに沿ってがんばるんだと思っていたんです。でもその方は知性でもっておもしろいことをやっていて、しかも成長している。その生き方がすっごいステキだな、この人のように生きたいなと思いました。

──しかし転職の話はいったん白紙となり、留学期限が迫ってきます。

梅津 警察庁に戻って役人人生を全うするか、コンサルティング業界、ビジネスの世界に行くのか悩んでいました。世界を良くする方法はたくさんあるけれど、自分は何を信じるのか。そんな中、留学当時に起きた9・11のテロの後フロリダのディズニーランドへ行ってパレードを見たんです。これは世界のどの子供が見ても楽しいだろう、やっぱりビジネスの世界、中でもエンタメの領域で役に立ちたいと思いました。それで非営利の役所から営利のビジネス修業をするには、前職を問わないコンサルだといろんなことが中和されるんじゃないかと……私は「職歴ロンダリング」って言ってますけど(笑)。それで半ば押しかける感じで、留学期限ぎりぎりでマッキンゼーに入りました。

──警察庁からの引き留めは?

梅津 ありました。ましてや、留学して辞めるなんて大問題です。せめて留学費用は返還することにしましたが、立つ鳥跡を濁さずみたいなことはできないから、相談ではなく「辞める」と通告しようと決めていました。警察ってマイナスである犯罪をなくして、世の中の治安を守る〝ゼロを作る仕事〟だと思うんです。でも私はゼロになったその場所に、花を咲かせる仕事をしたかった。人生が2回あるんだったら次でもいいけど1回しかないし、起きてる時間はほとんど仕事してるわけで、そのどっちがいいかと考えた時に「エンタメで役に立つことをするんだ」と迷いはなかったですね。

「仕事とは社会奉仕、不自由で当たり前なんだ」。そう思い込んでいた

梅津 文さん

GEM Partnersとは?
映画やアニメなどの映像コンテンツや動画配信といったエンターテインメント業界に特化した市場調査、マーケティングを行なう。独自の分析や蓄積されたデータをもとに、世間への浸透度などの市場調査や興行収入を予想した需要予測モデルによって最適な戦略を立て、作品の価値を高めるためのデジタル広告プランニングなどのサービスを提供している。

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