廃棄される酒粕を使った植物性のマヨネーズ風調味料
秋田県男鹿市で2021年の秋に創業したクラフトサケ醸造所「稲とアガベ」は、無肥料無農薬の自然栽培米を食用米程度にしか精米せず「田んぼから醸造まで無添加」をモットーに酒を醸造し、清酒製造参入規制の緩和を目指している。クラフトサケというのは、日本酒の製造技術をベースとした酒。または、そこに副原料を入れることで新しい味わいを目指した新ジャンルの酒を指す。
そんな稲とアガベが着目したのが、酒粕。酒粕は、旨味の強い発酵食材で、美容や健康に役立つ栄養素が多く含まれるが、活用方法が少なく、秋田県内だけで年間400トンが廃棄されているという。酒をつくる工程で廃棄されてしまう酒粕を使い、なんとか商品化できないかと生まれたのが、植物性のマヨネーズ風調味料「発酵マヨ」だ。田んぼから醸造まで一切添加物を使用していない「酒粕」が主原料で、環境負荷の低い代替食品である。
<左から、ユーグレナ 井上氏、稲とアガベコーポレートシェフ 井上氏、稲とアガベ 岡住氏、三菱地所 広瀬氏>
2024年2月には、三菱地所が展開する食と農に関するコンソーシアム「めぐるめくプロジェクト」の一環として、ユーグレナ社と共同で「発酵マヨ<石垣島ユーグレナ>」を開発・発売した。人間に必要な59種類の栄養素(ビタミン・ミネラル・アミノ酸など)がバランスよく含まれるスーパーフードである石垣島ユーグレナを配合したことで、健康と環境に配慮しながら、よりコクのある仕上がりを実現した。
発酵マヨ<石垣島ユーグレナ> 2個セット 1,944円(税込)
https://online.euglena.jp/shop/g/g100002-810117100/
(ユーグレナ・オンラインショップ)
通常のマヨネーズと比較し、使用する油の量は1/3に削減し、カロリーは半分以下にまで抑えた。植物性のため、卵アレルギーの人でも安心して食べられる。ユーグレナを混ぜることで、海藻のような味わいになるのかと想像したが、卵のようなコクがプラスされ、従来のものよりもマヨネーズの風味に近づいたように感じる。甲殻類や水分の少ない食材と相性が良いそう。
今後は、これまで飼料などで使われていた酒粕を使用して蒸留酒製造や肥料製造を行い、その肥料を使って米をつくり、また醸造を行うといった資源循環モデルの実現を目指すという。
文 / Kikka