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パナソニックが実用化を目指す次世代のオープンビルプラットフォーム「ビルOS」とは何か?

2024.03.04

ビルOSを活用したAPIの生成、サービス、アプリケーションの開発による建物の価値向上

 現在、BAS(ビル・オートメーションシステム)は、建物の高機能化や設備管理の省力化のため、ビル運用に不可欠な存在となっている。その一方で、建物全体の一元管理によるシステムの大規模化とシステム構成が建物ごと、かつ設備ごとに完結している点から柔軟なリニューアルや機能のアップデートが困難な側面があり、急激に変化するトレンドやニーズへの迅速な対応が難しいという課題を抱えている。この解決に向けて建物内の設備や環境、人といった様々な要素の情報をオープンなAPIとして提供を可能とする新たな建物モデルの構築が求められている。

 今回の実証実験では上記の課題を解消する糸口を探るため、ビル内の建物管理スタッフの位置情報データAPIを生成し、それらをもとに制作されたアプリケーションにより、業務効率化ができるかを検証している。また、将来的には、ビル内のAPIをオープン化することで、様々な分野でのアプリケーション開発環境を整え従来のBASが抱えていた問題の解決や新たなサービスの創造を実現していくという。パナソニックと福岡地所は、本実証実験を通じて、建物を利用するすべての人に寄り添い、持続的に価値を提供するスマートビルの実現を目指すとしている。

 現在、建設業界ではゼネコンをはじめ、通信会社やメーカーなど様々な事業者がビルOSのようなシステムを開発しているという。ところがこういったシステムが乱立するようになると、複数のビルで同じアプリを導入できるようにしたくても互換性の問題などで、乗り換えることすら難しくなるケースが想定される。そのためにも、パナソニックはスマートビルの標準規格を策定し、業界全体を効率化できる基盤を作りたいという思いがある。今回のビルOSを企画しているメンバーであり、福岡地所のアドバイザーを務める荒井真成氏はこう語る。

「外部のソフトウェア開発者がビルOSの開発に気軽に参画できるような環境をつくりたい。また、ビルの入居者や来館者、管理者がアプリを使って、それぞれの好みに合う形で快適に利用できるようにするのが理想です」

 労働人口の減少、光熱費の高騰、リモートワークの浸透、働き方改革などにより、オフィスビルに求められる機能は急速に多様化が進んでいる。そんな中、設備やシステムを従業員の行動データを解析し、効率化させるビルOSの存在は重要になっていくはずだ。将来、スマートフォンのように進化を遂げていくことが予想されるスマートビル。はたして、パナソニックは業界基準、はたまた、世界基準の礎を構築することができるのか。今後の動きに注目したい。

左から、 パナソニック エレクトリックワークス社ソリューションエンジニアリング本部技術営業統括部の福田明史氏、ソリューション企画室の吉村祐一氏、福岡地所 建築部長の田代剛氏、アドバイザーの荒井真成氏、建築部の綾部修司氏。

◾︎関連情報
https://panasonic.co.jp/ew/
https://fukuokajisho.com/

取材・文/編集部

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