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パナソニックが実用化を目指す次世代のオープンビルプラットフォーム「ビルOS」とは何か?

2024.03.04

 パナソニック エレクトリックワークス社は2024年2月、福岡地所と共同で次世代オープンビルプラットフォーム(ビルOS)に関する実証実験を実施することを発表した。この実証実験により、空調、照明、エレベーターなどビルの基本設備の操作、それらのリアルタイムデータ及び蓄積されたデータ群を、統一的なAPI(Application Programming Interface)として提供し、アプリケーションを開発できる建物モデル構築の足掛かりとなるものとなるという。

 現在、エネルギーや労働問題など都市が直面する様々な課題を解決するために、IoTやAIなどの先端技術を建物やまちづくりに取り入れたスマートビル、ビルOS(建物OS)といった新たな技術開発が進められている。グローバルな取り組みでは、IEA(国際エネルギー機関)が推進しており、日本でもIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が中心となって、ガイドラインの策定を行なっている。

 ここでいう「ビルOS」とは、建物内の設備やシステムに関わるデータを収集し、蓄積、連携する機能を備えたものを指す。複数の拠点において建物内の各設備が保有している様々なデータや制御等の管理ポイントをクラウド上で統合管理し、データの分析や活用したサービス提供、遠隔監視、複数拠点の一元管理等を可能にする画期的なプラットフォームだ。

 これが実用化されると、建物内のデータをオープン化し、サービスやアプリと自由に接続することで、テナント企業やそのビルで働く人たちの利便性を上げることが可能になり、さらには建物や周辺エリアの価値が上がっていくというメリットが期待できるという。

「最近、オフィスビルや病院などの建物にはビルオートメーションシステムと呼ばれるシステムが導入されています。これによって建物を一元管理し、省エネや省人化につなげることが目的ですが、BASは建物ごとに完結したシステムのため、機能の拡充や短い周期でのアップデートが難しかった。しかし、今回の実証実験では、このデータをクラウド上で管理し、エネルギー管理や遠隔監視、複数拠点を一元管理することで、建物のシステム、設備だけでなく、テナントで使用されているシステムや働いている人のデータについてもプラットフォーム上でデータ化して、それらを活用することで、新たなサービスを生み出せるようになります」(パナソニック エレクトリックワークス社ソリューションエンジニアリング本部技術営業統括部・福田明史氏)

 今回、福岡市中央区にある天神ビジネスセンターで2023年12月から行なわれているパナソニックと福岡地所による、ビルOSの実証実験を取材することができたのでレポートしたい。

実証実験が行なわれている福岡市の中心部にある天神ビジネスセンター。福岡地所が手がけた最新のビルで、国内外の有名企業が入居している。天神エリアで展開されている大規模な再開発計画「天神ビッグバン」の規制緩和第一号案件としても注目を集めている。

実証実験は、ビルOSを活用してのAPIの生成、サービスおよびアプリケーションの開発による建物の価値向上を目的として行なわれている。実証期間は、2023年12月1日~2024年3月31日。パナソニックはクラウドベースのビルOS及びAPI環境の提供を行ない、福岡地所はプラットフォームの基盤となるビルの設備、データの提供を行なう。

「ビルOS」実証実験のポイントは3つ

1. APIの生成および公開:建物内の様々な情報をオープン化し、アプリケーション開発参加へのハードルを緩和

現状、建物設備の情報や操作権限はBASのみで管理されており、外部からのアクセスが困難だが、オープン化することでそれらの情報を活用したアプリケーション開発が多様な業種から可能となる。

2. 建物内位置情報の公開:建物管理スタッフの位置情報と業務用エレベーターの稼働状況を公開

今回の実証実験では建物管理スタッフの位置情報と業務用エレベーターのフロア情報を取得、オープン化する。また、これらを活用したアプリケーション開発まで行なうことでビルOSを搭載した建物モデルを検証する。

3. 業務効率化の検証:開発されたアプリケーションにより、実験前後での業務効率の変化を検証

スタッフ、エレベーターの所在フロアや作業の進捗状況可視化、業務関連の情報共有などのためのアプリケーションを開発、試験導入し、建物管理の業務効率向上への効果検証を行なう。

【実証実験のイメージ】

 今回の実証実験の流れは、まず、建物内における人の位置情報と業務ノウハウを蓄積し、ナレッジ化する業務管理アプリの有効性を検証していくというスケジュールが組まれている。最初の調査段階では、ビーコンやゲートウェイを使用し、天神ビジネスセンターで働いている人たちの所在地(フロア)や、エレベーターの稼働状況を可視化し、データを収集するところからスタートしている。

今回の実証実験のためにビルの玄関や廊下に設置されているゲートウェイ。

業務用のエレベーターの壁にも小型のビーコンが設置されている。

ビーコンを携帯するビルの清掃スタッフ。

清掃員や設備管理員のビーコンから発信される電波をゲートウェイが受信し、4G回線を通してクラウドにデータを蓄積される。所在地や1日の動きを可視化することができる。

エレベータの稼働状況も可視化することができる。

今後はテナント企業の従業員などにも対象を広げていく計画で、データをアップロードできる設備なども増やし、たとえばオフィスの受付から会議室までの案内を一元化できるサービスも開発していく予定だとしている。

ビルの地下にある飲食店の利用状況も可視化することが可能だという。将来的には、ビル内に入っているレストランの予約を取れるアプリなどを開発できるようになるとのこと。  

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