2024年1月1日に発生した能登半島を震源とする地震(「令和6年能登半島地震」、以下「能登半島地震」)は甚大な人的、物的被害をもたらしている。
帝国データバンクの調査では、今回の地震で被害の大きい「能登地方」に本社を置く企業は4,075社にのぼる。交通の寸断などによって生産・消費活動に広く影響が出るとみられ、復旧・復興が長期化すれば、能登地方の企業と取引を行う全国の企業にも影響が広がる可能性がある。
そこで帝国データバンクはこのほど、同地震による企業活動への影響のほか、企業防災(企業が行う自然災害への対策)に対する意識についてアンケートを行い、その結果を発表した。
能登半島地震による影響を受けた/見込む企業は13.3%、『北陸』では4割にのぼる
能登半島地震による自社の企業活動への影響(直接・間接問わず)の有無を尋ねたところ、『影響がある(見込み含む)』(「既に影響が出ている」と「影響が見込まれる」の合計)とする企業は13.3%となった。内訳をみると、「既に影響が出ている」が4.3%、「影響が見込まれる」が9.0%だった。
既に影響が出ている企業からは、「社屋の一部が損壊した。幸い生産設備に問題はなかったが、一部配管漏洩や防煙ガラス破損、部材転落などの被害があった」(精密機械、医療機械・器具製造、富山県)といった、地震による直接的な影響を示す声が聞かれた。
他方、「材料が納入できなくなり、工期延長が発生した」(建設、埼玉県)や「金属製品の納入を検討していたが、取引先の工場が被災して納品時期が不明とのことで、別製品に切り替えることになった」(専門サービス、茨城県)のように、被災した地域以外でもサプライチェーンなどへの間接的な影響がみられる。
また、「影響の有無を確認中」で詳細が判明していない企業は7.4%、「現時点で影響はない」企業は75.3%だった。しかし、そうした企業のなかでも「今後、仕入先の工場などの稼働状況がどうなるかが懸念される」(機械・器具卸売、愛知県)との声もあるように、今後の影響を懸念している様子がうかがえた。
『影響がある(見込み含む)』の割合を規模別にみると、「中小企業」は12.1%と全国(13.3%)より若干低かった。一方、比較的幅広い取引ネットワークを持つ「大企業」は20.1%と全国を6.8ポイント上回る結果となった。
また、地域別では被災地である『北陸』が43.2%と突出して高かった。企業からは、「人的、物理的被害は甚大であるが、震災による自粛・萎縮マインドにともなう地域経済活動の停滞も心配。災害復興の継続支援のほか、風化させない取り組みが必要」(金融、石川県)といったコメントがあがっていた。