裁判所のジャッジ
▼ 第1ラウンド
なんと!地裁ではXさんが負けちゃいます。Xさんは控訴!
▼ 第2ラウンド
高裁
「セクハラじゃん。セクハラ野郎はXさんに30万円払え」
Victory!
―― ステテコ露出事件って、どんなものだったんですか?
Xさん
「カラオケでセクハラ野郎は自分のズボンのベルトを緩めてボタンを外してチャックも下げ、わざとズボンがずり落ちるような状態にして踊ったんです。その結果、何回もズボンがずり落ちてステテコを見せたんです」
―― 裁判所さん、これはアウトですか?
裁判所
「アウトですね。宴会を盛り上げるためにワザとそんなことを何回もしてさ。Xさんに不快感を与えているのでステテコ露出行為はXさんに対するセクハラ行為にほかならず、Xさんの人格権を違法に侵害する!」
―― ちんちん事件について教えてください。
Xさん
「セクハラ野郎が『(自分の)ちんちん小さいねん』と言ってきました。あと、『大阪ではもっと良いトップレスの店がある』と言ってきたり、ベビーシッターの話題になった時に『おっぱい飲んでねんねしては、いらんのや』と言ってきました……」
―― 誰もテメーのジュニアのボリューム聞いてねーって感じですが、裁判所さん、これはアウトですか?
裁判所
「アウトです。これでツーアウトです。自身の男性性器の大きさに触れ、仕事に関係のない風俗店のサービス内容に言及し、「おっぱい」などの言葉を含む性的な言動をしており、セクハラ行為にほかならない。Xさんは不快感を抱いており、Xさんの人格権を違法に侵害する!」
Xさん
「上記事件、まだあるんですが……」
―― なんと!ちんちん事件 vol.2について詳しく教えてください。
Xさん
「D警部の送別会で起きたんです。私が男性と女性の違いを尋ねたんです。するとセクハラ野郎が『これはセクハラに当たるかも分からんけど、男はオチンチンが付いとんのや。それだけでも違うやないか』と言ってきました……」
―― 的はずれな回答なのに「どやっ!」みたいな感じイタッ!
Xさん
「まだありますよ。続けてセクハラ野郎は『チンチン付けてたら男らしさも必要や』『女性は違うやろ。優しさちゅうのもあるやろ』『女性はかわいいとか、やさしいとかあるやん。それぞれの特長を生かして仕事もせな』『(Xさんも)かわいいとことかあるやん』と言ってきました」
―― 裁判所さん、鉄槌をお願いします。
裁判所
「スリーアウトチェンジです!露骨に男性性器に言及しているし、性差別的な一定の価値観をXさんに押し付ける内容の発言であり、社会通念上許される限度を超えています。Xさんの人格権を違法に侵害しておる!」
―― スリーアウトでセクハラ野郎は撃沈しましたね。
Xさん
「まだあります!懇親会でのことです。私が氷かワインを運んでいった時に、セクハラ野郎は『ありがとう』に加えて、『Xちゃんかわいいとこあるやんか』『普段からそうしてや』と言ってきました……」
―― 「ありがとう!」で止めてたらエエのに。裁判所さん、いかがですか?
裁判所
「まだあったんですね。アウトです。この発言も性差別的な一定の価値観をXさんに押し付ける内容だからです」
というわけで、裁判者はセクハラ野郎に慰謝料30万円の支払いを命じました。
飲み会でのセクハラ事件
飲み会ってセクハラの温床ですよね。最近、こんな事件もありました。
飲み会で抱きついてきた事件です(慰謝料40万円)。
証拠の残し方
Xさんは録音してたかもしれません。かなり具体的な発言が裁判所で認定されているので。
録音は最強です。セクハラ発言が飛びかう職場や飲み会に参加する時は、常時録音をオススメします。録音できればほぼ勝ちです。今回なぜ地裁で負けたのか謎です。
録音できない時は、セクハラされた直後に誰かにLINEするのも手です。コチラの事件をご覧ください。
駅のホームで上司から肩を触られた事件です。電車に入ってすぐ同僚にLINE。以下の内容です。
裁判所は「このLINEの内容は信用できる」と判断しました。セクハラ直後に送っておくのが肝です。
今回は以上です。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
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