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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
寝坊で解雇!?となった事件をお届けします。
―― アナウンサーさん、やっちゃいましたか?
アナウンサーX
「寝坊してラジオニュースを飛ばしてしまいました。翌月も寝坊しちゃいました。解雇されました」
―― 裁判所さん、いかがですか?
地裁
「解雇ダメ」
高裁
「解雇ダメ」
最高裁
「解雇ダメ」
ターキー!
会社がブチギレる気持ちもわかりますが、寝坊した理由も一理ありました。
以下、わかりやすく解説します。
(高知放送事件:最高裁 S52.1.31)
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 会社
・高知放送
▼ Xさん
・アナウンサー(報道部に勤務)
どんな事件か
2回の寝坊チョンボを見ていきましょう。
▼ 第1チョンボ
Xさんは、その日は泊まり勤務で、翌朝6時~6時10分のラジオニュースで原稿を読むことになっていました。
―― 起きたのは何時ですか?
Xさん
「……6時……20分death」
――南無。
ラジオニュースの終了時間も過ぎており、全く放送することができませんでした。 起こしてくれなかったんだもの……。
Xさんが寝過ごしてしまったのには理由があります。Xさんと一緒に泊まり勤務をしていた放送記者AがXさんを起こさなかったからです。
通常は放送記者が先に起きることになっていたんです。放送記者がアナウンサーを起こしてニュース原稿を渡すことが一般的な運用になっていました。
―― 顔面蒼白だと思いますが、Xさんはその後、どんな対応を取りましたか?
Xさん
「すぐに会社に謝罪しました」
気を引き締めて再スタートを切ろうとした矢先!
▼ 第2チョンボ
翌月もやっちゃいました……。まさかの再寝坊です。今回は、前回の全チョンボとは違い、5分間だけは放送できました。半チョンボです。
―― なぜまた寝坊を?
Xさん
「今回は、前回とは別の放送記者Bが寝坊して私を起こしてくれなかったんです……」
ダブルポンコツ放送記者A・B!
▼ 解雇
会社はXさんを解雇します。
▼ 提訴
Xさんは解雇無効を求めて提訴。