NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下NTTコム オンライン)は、NPSベンチマーク調査2023 航空会社部門を実施。最もNPSが高いのは全日本空輸(以下ANA)という結果になった。
業界全体としては、搭乗手続きやチケット購入手続きのしやすさや、地上スタッフ・キャビンアテンダントの対応のよさのほか、企業やブランドイメージの良さやサービスへの信頼性、またウェブサイトのわかりやすさもロイヤルティ醸成につながった。
また航空会社が提供する公式アプリの利用者のNPSは、利用していない人に比べてもNPSが高い傾向だった。公式アプリの利用者は搭乗手続きをスムーズにできている傾向がみられ、公式アプリ上で手続きなどをスムーズに行なえることが、ロイヤルティ向上にもつながったことがわかる。
航空会社部門のNPSおすすめランキング1位はANA
対象の航空会社のうち、NPSのトップはANA(0.8ポイント)、2位は日本航空(以下、JAL)(-2.8ポイント)、3位は(-5.5ポイント)となった。対象8社のNPS平均は-11.2ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は26.6ポイントだった。
■航空業界全体では手続きのスムーズさや、スタッフの対応力がロイヤルティを醸成する要因に
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
業界全体のロイヤルティを醸成する要素としては、「搭乗手続きのしやすさ、スムーズさ」、また「チケットの購入手続きのしやすさ」といった、手続きに関連したサービスの使いやすさやわかりやすさとなった。
また、「地上スタッフの対応のよさ」や「キャビンアテンダントの対応・おもてなし」といったスタッフの対応力、また「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」や「サービスの信頼性・安全性」、「ウェブサイトのわかりやすさ・使いやすさ」もロイヤルティ醸成に寄与した。
一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては「機内の快適さ(座席の座りやすさ、トイレの清潔さなど)」や、「お客様に寄り添う姿勢・大切にする姿勢」、「降機時の手荷物受取りや乗継など案内の分かりやすさ」といった項目が挙がっている。
ANAにおいては、「企業イメージ・ブランドイメージの分かりやすさ・使いやすさ」や「サービスの信頼性・安全性」に対する評価が高くなったほか、「ウェブサイトの分かりやすさ」や「アプリの分かりやすさ・使いやすさ」といったデジタル接点に関連した項目もロイヤルティ醸成要因となり、NPSおすすめランキングで1位を獲得した。
2位のJALは「地上スタッフの対応のよさ」や「キャビンアテンダントの対応・おもてなし」などのスタッフの対応力が、3位のスターフライヤーは「機内の快適さ」や「コストパフォーマンス」がそれぞれロイヤルティを醸成する要因となり、NPS上位となっている。
■公式アプリの利用がチェックインなどの手続きのスムーズさにつながり、ロイヤルティを高める
図:公式アプリの利用率(公式アプリ提供企業のみ)
現在航空会社においては、予約から搭乗までのシームレスな顧客体験の提供を目的に、デジタル接点の改善に注力をしており、公式アプリでは航空券予約や搭乗券、搭乗手続き(チェックイン)、また機内エンタメとして利用できるなどの機能付加を高めている。
公式アプリの提供がある航空会社における公式アプリの利用率を調査したところ、30.9%が利用している結果となった。
図:公式アプリの利用有無別NPS(公式アプリ提供企業のみ)
また、公式アプリの利用有無別にNPSも分析したところ、公式アプリ利用者のNPSは8.9ポイントとなり、それ以外の利用者よりもNPSが高くなっている。
図:公式アプリで利用したことがある機能(公式アプリ提供企業のみ)
これら航空会社の公式アプリの利用者に対し、利用したことがある機能も調査したところ、最も高いのは「モバイル搭乗券」(72.0%)となり、次いで「オンラインチェックイン」(69.4%)だった。
図:手段別のチェックインのスムーズさ
また、搭乗に必要なチェックインについて、手続きをスムーズに行なうことができたかどうかを手段別に調査したところ、公式アプリ経由でチェックインした利用者では「スムーズに行なうことができた」と回答した割合は63.4%となり、公式アプリ利用者は、他の手段の利用者よりもチェックインがスムーズにできている傾向がみられた。
チェックインをはじめとした手続きをアプリでスムーズに提供することが、シームレスな顧客体験を生み、利用者の利便性を高め、ロイヤルティの向上にもつながることが推察できる。
■利用者に最適化された情報を発信することがロイヤルティを高める
図:航空会社から受け取ったことがある情報
航空会社のWebサイトや、アプリ・メルマガを利用した経験がある回答者に対し、航空会社が発信する情報について受け取ったことがあるか調査をしたところ、受け取った割合が最も高かったのは「航空券のキャンペーン・セール情報(タイムセールなど)」(53.3%)となった。
以下「マイルに関連したお得なキャンペーン・会員優待に関連した情報」(30.7%)、「該当の航空会社の就航路線における旅行・観光案内・ご当地情報」(23.6%)と続いている。
図:パーソナル化された情報を受け取っている利用者の割合
受け取ったことがある情報のうち、予約した内容や過去の搭乗履歴に基づき、自身に最適化された案内や情報(パーソナル化された情報)を受け取ったことのある利用者の割合を分析したところ、27.8%がパーソナル化された情報を受け取っていると回答した。
図:パーソナル化された情報の受け取り有無別NPS
また、これらのパーソナル化された情報の受け取り有無別にNPSを分析したところ、パーソナル化された情報を受け取ったことがある利用者のNPSは22.9ポイントと高くなり、受け取っていない利用者と比較して差が開いた。
過去の旅行の履歴や予約の内容に応じた利用者に最適な情報を発信できることなど、パーソナル化された情報の発信の重要性が示唆される結果が得られた。
■新型コロナウイルス感染拡大前よりもお薦めしたいと思っている割合は15.3%
図:新型コロナウイルスの感染拡大に伴う推奨度合いの変化
新型コロナウイルスの感染拡大前(2020年1月以前)と比較してお薦めしたいという思いに変化があったか調査したところ、「新型コロナウイルスの感染拡大前よりもお薦めしたいと思っている」と回答した利用者は15.3%だった。
「感染拡大前よりもお薦めしたいと思っている」と回答した利用者に、その理由を自由記述で調査したところ、「以前よりサービスレベルがあがっている」、「新型コロナウイルス感染拡大前より、サービス内容が良くなっている」、「コロナ禍低迷時よりも明るく気持ちの良い姿勢が見られる」といった感染拡大前よりもサービス品質が向上したといった意見や、「安心して乗れる企業だから」、「キャビンクルーがマスクを着用したり、手袋を着用することで、コロナだけでなく他の感染症のリスクが減ったと思うから」といった感染予防対策の対応の良さなどが挙げられていた。
新型コロナウイルスの感染対策を踏まえたサービス品質の向上が感じられていることが評価され、以前よりもお薦めしたい気持ちにつながる結果となった。
■該当の航空会社の推奨度(友人や同僚におすすめできるか)が高いほど、継続利用意向も高くなる
図:推奨セグメント別継続利用意向
該当の航空会社の利用者に対し、今後の継続利用意向を0~10の11段階で聞いたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.4ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.9ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.4ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果が得られた。
調査概要
・航空会社
調査対象企業(アルファベット順、50音順)/ AIRDO(エア・ドゥ)、ANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)、JetstarJapan(ジェットスター・ジャパン)、Peach(ピーチ・アビエーション)、Skymark Airlines(スカイマーク)、スターフライヤー、ソラシドエア
・調査対象者/インターネットリサーチモニターのうち、上記航空会社の利用者(1年以内)
・調査方法/NTTコム リサーチ*による非公開型インターネットアンケート
・調査期間/2023/12/12(火) ~ 2023/12/18(月)
・有効回答者数/3376名
・回答者の属性
性別/男性:57.0%、女性:43.0%
年代/20代以下:19.8%、30代:16.7%、40代:19.8%、50代:17.4%、60代以上:26.3%
<NPSとは>
NPS(Net Promoter Score®)とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを測る指標。欧米では公開企業の3分の1がNPSを使用しているといわれ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPS®を活用する企業が増えてきている。
関連情報
https://www.nttcoms.com/service/nps/cloud/
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/airline/inquiry/?utm_source=PRTIMES&utm_medium=referral&utm_campaign=240125_NPS_report
構成/清水眞希