既存の枠組みでしか考えられない社員は生き残れない?
オートバックスは中期経営計画策定において、「次世代の経営を担う40代以下のメンバーと取締役で中期経営計画骨子のディスカッションを実施」したと明かしています。連結での従業員数が4,500人という大企業に成長したオートバックスが、新陳代謝を高めようとしているのです。今回の希望退職者の募集は、組織を新たなクルマ社会に対応させるため、若返りを図るという意味合いが大きいでしょう。
オートバックスは売上高5,000億円達成の道筋で、新規事業の貢献を挙げています。
新規事業への投資は200億円程度を計画。モビリティ情報のプラットフォーマーを目指そうとしているのです。
現在、カーライフ総合情報サイト「MOBILA」において、ドライブ・旅行、アウトドア、ゴルフなどの情報だけでなく、渋滞状況の提供も行うようになりました。法人向けのクラウド型車用管理システム「FLEETGUIDE」では、運転日報や運転管理、車検満了日などを一括管理できるサービスを提供しています。
オートバックスはデータの専門家を輩出すべく教育プログラムを実施。50名が受講しました。2030年までに320名の受講を目標としています。
顧客データ基盤の構築も完了し、利用も進んでいます。カー用品のオートバックスという枠組みからの脱却を図っているのです。
希望退職者の募集は、新生オートバックスへの生まれ変わりに必要な施策の一つだと言えるでしょう。
リストラは、業績が安定した会社には無縁の話。そう考えている会社員も多いはず。オートバックスの希望退職者募集は、その神話を覆す興味深い事例だと言えます。
取材・文/不破聡