ナイキ 「Just Do it.」
ナイキの商品には、「Just Do It.」というメッセージが込められています。これは、「とにかくやってみよう」といった意味を持ち、相手を奮い立たせるような急かすニュアンスや、ハッパをかけるような強い意志も含まれています。
このメッセージを通じて、ナイキはユーザーに「自分を高め、積極的に行動する強い意志を持とう」というマインドを呼び覚まし、自社の商品をスポーツマンらしいイメージと結びつけています。ナイキの「Just Do It.」は、1988年に初めて放映されたテレビCMを契機に、このメッセージが幅広く認知されました。以降、ナイキの広告には「Just Do It.」が欠かせず、専門ショップの壁にもこのメッセージが掲げられ、ブランドの哲学となっています。
株価と売上高の変遷
ここでは2019年~2024年(予想)の売上高、EPS、PER、配当について解説してきます。
(単位:百万ドル)
【売上高の推移】
2019年から2024年の間で売上高は総じて増加しています。
2019年の39,117.00ドルから2024年度の51,842.25ドルへと上昇しており、安定的な成長が見られます。
【利益関連の数値の変化】
営業利益、税引前当期利益、当期利益ともに2019年から2020年にかけて減少傾向(コロナによる影響)が見られますが、その後は再び増加しています。
2024年は、営業利益が6,155,41ドル、税引前当期利益が6,684,.0ドル、当期利益が5,501.97ドルと上昇する予定です。
【EPS(1株当たり利益)の推移】
EPSは2019年から2020年にかけて減少しましたが、その後は再び増加しています。
2024年には3.62ドルとなる見通しであり、順調な回復が見られます。
【PER(株価収益率)の変動】
PERは2019年の30.25倍から2020年は60.52倍に急増しましたが、その後は減少傾向にあります。2024年の予想では29.63倍となっています。PERが減少することは、投資家が企業の将来の収益性に対して、今後の景気変動などの影響で先行きにやや慎重になっている可能性を示唆しています。
【配当の増加】
配当は年々増加しており、2019年度の0.84ドルから2024年度には1.42ドルまで上昇しています。ナイキが収益の一部をしっかりと株主に還元する企業であることがみえてきます。
総じて、ナイキは売上高や収益面で安定的な成長を遂げています。
コロナなどの影響で一時的な減少があったものの、順調に回復し、将来に向けた成長が期待される企業といえるのではないでしょうか。
特に直近の決算を見ると、中華圏やアジア・太平洋・中南米地域における売上高の上昇が大きく、今後の推移も注目したいポイントです。
おわりに 映画「AIR」とナイキの哲学
最後にナイキの哲学や空気感にふれる方法として、2023年4月に公開された「AIR」という映画があります。これは1980年代のナイキが舞台の物語です。
当時のナイキは今ほどの人気がなく、むしろ業界では負け犬のような存在でした。
しかし、この映画はナイキの社員たちが一大チャレンジに挑み、驚異的な成功を収めるまでの姿を生き生きと描いています。
こうした情熱と信念がカルチャーとして浸透している限り、今後もナイキは魅力的な企業でありつづけるのではないでしょうか。
以上、米国企業深掘りシリーズ「ナイキ(NIKE)」でした。
文//鈴木林太郎