3.個人情報保護違反・著作権侵害になる情報を利用するリスク
「一部の作家グループが、OpenAIが彼らの作品を不正に使用してAIをトレーニングしたとしてOpenAIを訴えています。これらの主張に対して、OpenAIはChatGPTのトレーニングデータセットから著作権保護された素材を削除するのではなく、ChatGPT EnterpriseとAPIを使用して訴えられた顧客に対して、著作権侵害の訴訟の法的費用を負担するとしています」
●対応策
「この事例から、盗用検出ツールのようなツールを使い、ChatGPTによって生成されたコンテンツを自分で検証することは良い取り組みででしょう。さらに、独自に事実確認を実施することは極めて重要であり、他の個人の記事から情報を引用する場合には、利用規約を十分に確認し、適切な引用と免責事項を含めて著作権規制を尊重することが大切です。そして、コンテンツが個人データプライバシーを侵害しているかどうかが不明な場合、それを公開しないことが重要です」
ChatGPTへのリスク対策としてVPNを利用する意味
ChatGPTを始め、より安全にオンライン上のサービスを利用する際にはVPNの利用も一案だ。VPNとは「Virtual Private Network」の略称で、「仮想プライベートネットワーク」や「仮想専用通信網」と訳される。
VPNでインターネットに接続することをVPN接続と呼ぶ。共用の回線を仮想的に独立した専用回線であるかのように扱う。クローズドなネットワークを構築し、さらに暗号化やアクセス認証を設けることでネットワークセキュリティを高めることができる。
ChatGPT利用に際してVPN接続を利用することにはどのような意味があるのか。Engel氏は次のように述べる。
「VPNを使用してChatGPTや他のオンラインサービスに接続することで、実際のIPアドレスを新しいものと置き換えることができ、あなたの本当の居場所は誰にも分からないようになります。したがってVPNは、ユーザーとしての個人について収集される情報を減少させるのに役立ちます。あなたのオンライントラフィックは、他の多くのユーザーのトラフィックと一緒に同じサーバーから来るように見えるため、ユーザーを特定しにくくします。
もちろん、どのツールもすべてのサイバー攻撃や脅威に対する完璧な解決策ではありません。VPNは単なる一つの有効かつシンプルな対策です。その点を考慮に入れて、VPNを使用するだけでなく、ChatGPTで機密情報を共有しないことと、ChatGPTの個人データ処理をできるだけ避けることをおすすめします」
ChatGPTを業務で利用する際には十分な配慮が必要。会社の体制やネットワーク環境なども、今一度確認しておくのが良さそうだ。
【参考】
ExpressVPNブログ
「ChatGPTへの質問の仕方 – ほしい答えを得るヒント」
「ChatGPTとプライバシー:個人情報はどうなるの?」
文/石原亜香利