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見て、聴いて、触った!2023東京インターナショナルオーディオショウで堪能した深淵なるオーディオの世界

2023.12.23

PIEGA「Coax 811」

ピエガはスイスのスピーカーメーカーである。その特徴は中高域に同軸のリボン型ドライバーを使っていること。ツイーターの回りがミッドレンジの振動膜に囲まれた形状で、高音と中音が同じ場所から発せられるのだ。振動膜は0.02mmのアルミ箔が使われレスポンスがよく微細な信号まで正確に再現する。もう1つの特徴はエンクロージャーがアルミニウム製であること。3トンのアルミの塊をプレス機で押し出して作るエンクロージャーは高剛性、高密度で無共振になる。これによりクセがなくオリジナルに忠実なサウンドが再現されるという。その音像定位の良さを体感する予定だったが、試聴した席がセンターでなかったので音場感はよく分からなかった。以前よりウォームな音色で、情報量の多い繊細な音だ。低域は22cmのダブルウーハーにパッシブラジエータが2発。タイトでレスポンスが良く、さすがアルミエンクロージャーと納得させてくれた。一体型なのでリビングにも置きやすい、価格はブラックが539万円ペアとなる。

PIEGA Coaxシリーズの2世代目ハイエンドモデルが811になる。リボン振動膜を支えるフロントプレートを新設計したC212+とC112+に加えて、アルミ振動版のUHQDウーハー2基、パッシブラジエータ2基で構成されたトールボーイのフロア型スピーカーだ

中心部がツイーターで、周囲がミッドレンジのリボン型ユニットを採用

エンクロージャーを輪切りにしたサンプル、内側に押しとひっぱりで共振を抑えるプレートが4枚入っている

ピエガを駆動するアンプはドイツのOCTAVEの新製品、「MRE 220SE」というモノラルパワーアンプでKT120を4本使って連続出力200Wを出せる

estelon「AURA」

流線型のエンクロージャーが未来を感じさせるエスオニアのスピーカーメーカーestelonの「AURA」である。エンクロージャーの素材は鉱石とポリマーを使ったコンポジット材で共振を抑えると同時に真空プレス機で加圧成型することにより高剛性、高密度を実現するという。曲線のみで構成されたエンクロージャーが内部反射による振動を抑える。3Way4スピーカーの密閉型でウーハーは底面に取り付けられ専用スタンドで設置する。センターで試聴すると音像定位はシャープで、スピーカーの周囲に広がりのある音場が出現した。これは注目したいブランドである。価格は286万円ペア。

優雅な曲線で構成されたエストロンのAURA。高さは1366mm、重さ34kg

楽器型スピーカーの集大成Sonus faber「Stradivari G2 Anniversary」

ソナス・ファベールはイタリアのヴィチェンツァで1980年に創業したスピーカー工房で、木材の美しさを生かした小型スピーカー「ELECTA AMATOR」で有名になった。その後、大型スピーカーを手掛け「Guarneri Homage」で再び注目を集めた。今回の「Stradivari G2 Anniversary」は創業40周年を記念した第2世代のストラディヴァリ・オマージュになる。世界限定120ペアの中で日本には4ペアが割り当てられている。高さ1374mmに対して奥行きは428mmしかなく、表面の仕上げは楽器か高級家具を思わせるもので、リビングルームに置いても最も違和感のないハイエンドスピーカーと言えるだろう。

奥行きがスリムなエンクロージャーだが、内部は複雑な構造の3.5Way4スピーカーのバスレフ型である

ツイーターとウーハーは本機専用設計で、ミッドレンジのフェーズプラグは新設計されている。再生周波数帯域は25Hz~35KHzとワイドレンジだ

スピーカー背面には低域のレスポンスを調整するLFAを搭載する

駆動するパワーアンプはドイツのブルメスター218と216を使用

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