総務省が2023年8月に発表した「労働力調査」によると、2023年6月時点の建設業の就業者数は481万人と、2018年の503万人から4年連続で減少しており、人手不足が深刻となっている。
また建設業では、働き方改革の一環として残業規制が2024年4月1日から適用される。適用後は時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間となり、特別の事情がなければこれを超えることはできない。
この残業規制に関して実際に建設現場で働く社員はどう感じているのだろうか。
建設業界に特化した人材サービスを展開するウィルオブ・コンストラクションは、全国の建設現場で就業する10~60代の社員490名を対象に、「残業規制に関する意識調査」を実施した。
77.1%が「残業規制」に向けて就業現場で具体的な取り組みを始めている
「2024年4月施行の「残業規制」について、就業先の現場での取り組みは進んでいるか」聞いたところ、「はい」と回答した割合は77.1%であった。
多くの現場が取り組みを進めている一方で、22.9%の現場においては取り組みが進んでいる実感があまりない、と感じていることがわかる。
次に、「残業規制の適用を歓迎するか」について聞いたところ、「歓迎している」と回答した割合は75.7%であった。
年代別にみると、30代以下では残業規制の適用を「歓迎している」と回答した割合が84.8%なのに対し、40代以上では45.6%という結果に。働き盛りで現場での責任も大きくなる40代以上は、残業規制の適用に懸念や不安を抱えている人が多いと考えられる。
残業規制を歓迎しない理由第一位は「給与が下がる」、次いで「サービス残業が増える」
最後に、「残業規制を歓迎する理由・歓迎しない理由(複数回答)」について聞いたところ、残業規制を歓迎する理由は、「余暇(自分の時間)が増える」(78.7%)がトップ、次いで「休息の時間が増える」(52.8%)となった。
一方で、残業規制を歓迎しない理由は、「給与(残業代)が減る」(31.6%)がトップで、次いで「仕事が終わらず、サービス残業が増える」(30.0%)、「工期・納期が間に合わなくなる」(22.0%)という結果となり、残業代が減ることによる給与の目減りが一番の懸念事項であることがわかる。
サービス残業が増えることへの懸念については、20~30代の若手に特に多い結果となった。残業規制が適用されても業務量が削減されるわけではないため、サービス残業の発生や納期遅れの不安を感じている人も多いようだ。
調査概要
調査概要:建設業界で働く社員の残業規制に関する意識調査
調査期間:2023年9月25日~10月6日
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査対象:建設現場で勤務する10~60代の技術社員
有効回答数:490
出典元
https://willof-construction.co.jp/
構成/Ara