2024年上半期のトレンド予測は、「美髪課金」「夏慢性化攻略」「エンタメマスク」「ひとくち美容」
今後、どのようなヒット商品が登場するのか、「2024上半期トレンド予測」も発表された。キーワードは、5つ。キーワードごとに、トレンド予測の理由をみてみよう。
■美髪課金
職場でのヘアスタイルの自由化によって、クチコミでは、「ブリーチ毛」というワードの出現率が5年前と比較して5.4倍にのびている。ヘアケアにかける金額をより増やしたい、またやや増やしたいというアンケート結果が約54%で、シャンプー、コンディショナーにプラスしてヘアケアするアイテムの売り上げが伸びている。
1年前は、ヘアセットのためのバームやオイルが売れていたが、現在は、健やかな髪を育てる頭皮ケアに興味を持つ人が増加していることから、ヘアケアアイテムがトレンド入りすると考えられている。
■夏慢性化攻略
夏の長期化から、夏の暑さを攻略するコスメに注目。季節の変わり目の肌トラブルに着目したものや、崩れにくいメイクアイテム、ひんやりクールなアイテムのほか、デオドラント系も引き続き売れると予測。また、さっぱりタイプが多いメンズスキンケアを女性が使うこともより増えそうだ。
■エンタメマスク
既存商品でよく見られる歌舞伎の熊取やキャラクターのプリントを楽しむタイプのフェイスマスクとは違い、使用感の新しさがエンターテイメントになるマスクに注目。冷蔵庫で冷やして、温度計が青くなると使用可能なひんやりマスクや、バイオセルロースの密着感が独特なフェイスマスクなど、今までにない使用感の新鮮さが鍵に。
■ひとくち美容
「飲むケアを今後試してみたい」とアンケートで答えた人は、約3割。今後は、手軽で、ひと口でケアできる美容への投資が注目されそうとのこと。
■クワイエットラグジュアリーメイク
ファッション業界で注目のクワイエットラグジュアリーという上質で気品のある装いが、メイクでもトレンド入りしそう。クチコミでは、「多幸感」というワードの出現率が、昨年の1.8倍にのび、「上品」というワードとの結びつきが高いそうだ。コスメアイテムがどんどん幅広くなる中、新たなトレンドになるアイテムも注視していきたい。
メンズコスメの最新動向をチェック
メンズコスメについて教えてくれたトレンド予測を発表する@cosme ビューティーアドバイザー 村上宏明さん(写真右)。
メンズコスメの市場も広がる中、スキンケアから一歩進んでメイクをする男性も増加中だ。
「スタートはスキンケアですが、その後身だしなみとしてのメイクをし、最近は、ポイントメイクをする男性も増えています。」(@cosme ビューティーアドバイザー 村上宏明さん)
以前はメイクをしていることがわからない程度の自然な仕上がりを求める人が多かった。しかし最近はメイクをしているということがしっかりわかるようなポイントメイクをする人は、30代以上でも増加傾向にあり、年齢問わずメイク男子が増えているという。
これは、周囲もメイクしているから乗り遅れてはいけないと感じるほか、「かわいくなりたい」「きれいになりたい」という美意識がアップデートされているのではないかと分析している。ちなみに、涙袋メイクも増えているそうで、人気のメイクアップのテクニックのトレンドは、男女問わず同じなんだとか。
40代以上の人の動向をクローズアップすると、加齢によって悩みが複合化するため、成分をしっかり確認して買う傾向にあるという。海外から来日した観光客も、クチコミを調べて、選んで購入することが多く、以前のようなやみくもな爆買いは減っているとか。
40代以降の男性は、シンプルでさっぱりする使用感や、洗面台に置いてクールなパッケージを好む傾向。若年層のパッケージ買いは「かわいいから欲しい」という感覚がジェンダーレスで共通しており、世代による感性差がうかがえる。一方で、すべての年齢層で売れているのが「日焼け止め」。美容のみならず、紫外線によるリスクなども考慮し、日焼けは避けたいというのが、男女共通の認識になりつつあるようだ。
今までは、年代別や性別でのアプローチが多かったコスメ業界だが、今後は、自分の肌や髪にあったアイテムを成分から確認し選ぶようになることで、よりジェンダーレス、エイジレスなコスメが増えていきそうだ。
また、性別や年齢の区切りが曖昧になることで、自分で積極的に情報を集めたり、深掘りしたりしない層は「自分向け」のコスメかどうか、迷子になる可能性も。定義されていたほうが楽に感じる層へのアプローチも、今後のコスメ業界のカギになりそうだ。
@cosme https://www.cosme.net
取材・文/林ゆり