耐久性に優れた3Dプリンター住宅の凄み
今年誕生した二人世帯向けの住宅「serendix50」が現在販売中の最新モデルだが、実は70平方メートルのファミリータイプ平屋住宅「serendix70」がもうすぐ完成予定。販売は来年夏ぐらいを目指しているという。
可能性を秘めた3Dプリンター住宅だが、正直気になるのは安全性と耐久性。その点も飯田氏にお聞きした。
「材料が樹脂ではなくコンクリートなので木造と比べても強いですし、耐久年数は70年以上。また、壁が30センチ超の2重構造なので通常の住宅と比較にならないぐらい壁が強い点も特徴です」
今年10月時点で「serendix50」への問い合わせは既に8033件。そんな3Dプリンター住宅は一体どんな手順で作られているのか?
(1)最初に意匠設計を行い、出力データを作り、先端のロボット工学による3Dプリンターにデータを送信
(2)提携工場にある3Dプリンターで出力しモルタルの4つのパーツのプレキャスト部材を製作
(3)それぞれの部材を輸送し、レゴのブロックのように組み合わせ、現場で組み立てて施工する
「serendix10」は23時間、「serendix50」は約44時間で完成するが、今後普及のスピード化を図るためさらに12台の大型3Dプリンターを導入。いかなる住宅も「24時間で完成」を目指しているという、
ゼロベースから街を作りたいという切なる願い
セレンディクスが手掛ける住宅は基本的に土地があればどこでも建てられるという。だが問題は土地だ。いくら上物が安くなっても土地が高ければ住宅ローンの問題は解決できないが…
「たしかに東京だと100平米で5億円ぐらいしますし、福岡でも5000万は下らない。このレベルだと一般のサラリーマンでは明らかに住宅ローンは無理なんですが、弊社では政令指定都市から約90分の場所に住むことをお勧めしています」
「実際に私が暮らす大分県天瀬町は大分市まで車で約1時間、福岡市でも約90分の距離です。自宅はかなり山奥ですが100平米で20万円ぐらい。日本には探せば安い値段の土地が無尽蔵にあるんです。それを活用しない手はない」
――飯田さんは大分にお住まいなんですか?
「はい、私たちがお勧めする場所はどのような生活圏なのかを確かめる意味もあって、大分で暮らしています。もちろん平日はテレワーク並びに出張で都会に出て仕事をしたりしていますが、週末は美しい自然環境の中で暮らすことが多いですね」
――不便さを感じることは?
「ないですね。大都市も近いですし、季節ごとの美しい花や木や自然に囲まれている空間がとても快適なんです。都会にいるといろんな情報が入りすぎてストレスを感じますが、自然の中にいるとリラックスしてるのか湯水のようにアイデアが出てくるんですよね」
そんな飯田さん、実は今年、テレビ朝日系列の人気番組「ポツンと一軒家」で取材されたという。つまり、それだけ自然に囲まれた場所で暮らしているということ。
自身で体験しているからこそ、飯田さんの話には説得力があり信頼できる。なんの根拠もない自信だけのレコメンドほど、心に刺さらないものはない。
ただ、都会でバリバリ働く人間が田舎暮らしでやっていけるのだろうか?その疑問にも飯田さんは的確に答えてくれた。
「現在の主要労働者は団塊ジュニア世代ですが、2025年以降はミレニアム世代に移り変わると言われています。彼らは生まれた時から身近にインターネットがあり、ネットワーク上で仕事ができることに馴染んでいるんですね。
それに今やレストランのシステムやコンビニのジュースの補充などサービス業のデジタル化が急速に進んでいて、都会に住んで通勤すること自体があまり意味のない時代に変化し始めている。そこで我々は土地の安い場所に3Dプリンター住宅をお勧めし、ゼロベースから街を作りたいと考えています」