宇宙ビジネス全体では2040年に160兆円と対2020年比4倍になるが再利用ロケットは?
文部科学省が公表している「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会」の資料によれば、2020年が約40兆円であった宇宙ビジネスの市場規模に対し2040年は約160兆円と4倍に拡大すると予想されている(下図)。
引用元:資料4-1-2 宇宙利用の世界市場動向及び将来の予測/経済産業省
資料では、宇宙探査やP2P輸送(地球上の2点間を宇宙を経由しての輸送)が狭義の宇宙ビジネスとして定義しているが、これでも対2020年比で2倍の規模になっている。輸送機会が増える中、経済合理性が高いロケットの引き合いが多くなるのは自明だといえる。
拡大する宇宙ビジネスでは、2030年までには、上掲図の通り、“宇宙市場の多様化と拡大が同時に起きていく”とし、”輸送サービスの民営化“や”高頻度打ち上げや再利用ロケットによる宇宙アクセスコストの抜本的低下“が起こるという。
では再利用可能ロケットに注目すると、どのくらいの市場規模があるのだろう。
Fortune Business Insightsが2023年3月に公開した再使用型ロケット市場規模の調査結果によれば、2023年の再利用可能ロケットの市場規模は約2,254億円(約16.1億米ドル/1ドル=140円換算)なのに対し、2030年は約7574億円(約54.1億米ドル)になるという。
宇宙ビジネス全体比1%弱でしかないものの、宇宙探査や衛星インフラ構築、地上設備などに比して規模が小さく民間企業が参入しやすい領域であるといえそうだ。一方、相対的に規模が小さいとはいえ、ロケットの用途を「輸送」と捉えれば、宇宙への輸送業であるとして、JALグループがSPACE WALKERと資本業務提携した理由にも合点がいく。