【ヒット商品開発秘話】発売直後は売り切れ続出!1年で200万個以上売れたネイチャーラボ「LAVONS to the Moon」
2023.12.05発売間もなくで欠品に
リラックスした気分になってもらうことをコンセプトにした、従来なかったフレグランスなので、小売店との商談も時間をかけ慎重に進めた。小売店との商談を始めたのは、コンセプト段階であった発売の1年ほど前。コンセプトに対する小売店の反応は、概ね好意的だったという。
従来にないコンセプトの商品であることから、販路は徐々に拡大することにした。当初はECサイトをはじめ一部のドラッグストアに限定。販路を限定せず全国どこでも買えるようになったのは2023年10月のことである。
『ラボン』ブランドから4年ぶりに発売された新商品ということもあり、発売直後から積極的に広告を展開する。テレビCMの放映やデジタル媒体への広告出稿はもちろんのこと、全国の主要エリアでの交通広告の実施や雑誌への広告出稿など、全方位といってもいいほど広告を展開していった。
広告の効果は思った以上に早く、予想外なほど大きく現れた。10月末頃から欠品を起こし、3か月近く品薄状態になってしまったというのである。早川氏は「お客様にはご迷惑をおかけしましたが、生産計画以上の支持が得られたことになるので、一定の手応えを得ることができました」と話す。
売れているのは圧倒的にベッドルーム&ファブリックミスト。ミストは大手企業の有名ブランドが大きなシェアを獲得しているが、発売と同時に取り扱いを始めたドラッグストアの中には、ミストカテゴリーの中でトップの売上になったところもあったほどだ。
2023年3月に、トワイライトマジックの香りから新商品、ベッドルームペーパーフレグランスが発売される。吊り下げタイプの芳香剤で、ベッドルームのほか、クローゼットや玄関、トイレ、車内などにも使える。価格は同社のオンラインストア「NatureLab Store」で382円(税込)。柔軟剤やベッド&ファブリックミストより安価なことから、『ラボン トゥザムーン』の用途やユーザー層を拡大することを期待されている。
ベッドルームペーパーフレグランスは、角度によっては月がキラッと光ったように見えるよう、ホログラムを差し込んだほど。コストをかけて凝ったつくりにしたが、リラックスしてもらいたいという観点に基づいたものだという。
トワイライトマジックの香りのベッドルームペーパーフレグランス
新たなユーザー獲得でつくられた新しい香り
2023年10月に、ノクターナルブルーの香りを採用したベッドルーム&ファブリックミスト柔軟剤、ベッドルームペーパーフレグランスを販路限定で発売した。
ノクターナルブルーの香りの柔軟剤、ベッドルーム&ファブリックミスト、ベッドルームペーパーフレグランス
一連の商品群は、商品化を見越して早くから準備をしていたが、商品化の正式なゴーサインが出たのはトワイライトマジックの香りの柔軟剤とベッドルーム&ファブリックミストが発売された直後。想定を上回る売上を早い段階で上げることができたことが要因になった。
ノクターナルブルーの香りは、トップノートにラベンダー、アルモワーズ、ベルガモット、ミドルノートにミュゲ、ローズ、ラストノートにサンダルウッド、ムスクを採用している。
トワイライトマジック同様、夜にリラックスできるものとしてつくられたが、「新しいユーザーを獲得したかったので、パッケジージデザインを含めて検討しました」と早川氏。香りはさっぱり目に仕上げたトワイライトマジックとは異なり、甘い感じに仕上げた。パッケージデザインについては、トワイライトマジックと同様のグラデーション表現だが、夜がだんだん更けて深いブルーに変わっていく夜空と夢の中のような浮遊感と幻想感をイメージした。
また、トワイライトマジックの香りについては新アイテムとしてベッドルームディフューザーが追加され、2023年11月から全国発売されている。
トワイライトマジックの香りのベッドルームディフューザー
取材からわかった『LAVONS to the Moon』のヒット要因3
1.切り口が新しくなった
香りは新しくつくったものだが、生かしてつくられた商品はミストや柔軟剤などで目新しさはない。しかし、消臭や芳香ではなく、リラックスを提供価値にしたので、結果的にそれぞれの商品が新しい切り口の商品になった。
2.リラックス気分を高めるパッケージデザイン
グラデーションが印象的なパッケージデザインも香り同様、リラックスできるものとして考案された。香りで得られるリラックス気分を高めるのに一役買ったところがある。
3.『ラボン』ブランドユーザーからの変わらない支持
4年ぶりに『ラボン』ブランドから発売された新商品。50回以上の試作をした結果、これまで『ラボン』ブランドの商品を愛用してきたユーザーの期待を裏切らないものができ、変わらない支持を得ることができた。
「『眠れる』とはいっさい訴求していませんが、口コミやお客様の声では『よく眠れる気がする』『安眠できました』といった反応を多くいただいています」と早川氏。「香りだけではなくパッケージデザインも合わせて、眠れるという印象を持っているからではないのでしょうか?」とその理由を分析する。
香りはつくろうと思えば無限につくれる。そういう意味では、『ラボン トゥザムーン』の伸び代はまだまだ大きい。リラックスできる新たな香りの登場を期待したい。
製品情報
https://www.lavons.jp/moon/
文/大沢裕司