高校野球への強い危機感。固定観念を疑え
森林監督は、歴史を紡いできた高校野球は意義があり、価値のあるものだと思う一方で、そこに潜む慣習や取り組みに危機感を覚えるという。旧態依然とした風潮がまだまだ残る高校野球では、例えば「高校球児=坊主頭」という発想を持つ人が少なからずいる。そのイメージはここ数年で急速に和らぎ、髪型の自由な高校が増えてきたとはいえ、これまでの固定概念を完全に払拭するまでには至っていないのが現状だろう。無論、坊主頭が悪いという話ではない。個人やチームの考えや思いがあって、坊主頭で挑む学校があってもいい。要するに、「なぜ、坊主頭であるべきなのか」と疑問をもって自問自答をする中で、主体的な考えのもとで行動することが重要なのではないか。
「高校野球を通して、新しい姿、新たな可能性を示したい。今までとは違った多様な姿を示していきたい。大きな目標としてそういう思いがあったので、今年の夏、甲子園で多くの方にその姿を見ていただけたことはよかったと思っています。我々の姿をひとつのきっかけとして、多くの議論が生まれてくれればと思っています」
森林監督は時代の変化や進化に順応しながら、これまでの「常識」にも挑み続けるのだ。
選手たちが「なりたい自分になる」ための伴走者でありたい
影響を受けた人・本
Person|坂本龍馬
「体制の改革や構築に邁進し、先を見る力と行動力に感銘を受けます。日本に新しい風を吹かせた姿に奮い立たされます」
Book|雑誌『致知』
スポーツや経済分野など各界各分野で活躍する人物の体験談から「人間学」を学ぶ月刊誌。選手間で感想を共有しあうなど、野球部でのミーティングにも活用している。
取材・文/佐々木 亨
文/編集部