駒大の大八木さんは60歳前後で対話型にシフト
リーダーはターゲット設定、マネジメント、デザイン力を磨くべき
伊藤 リーダーにはマネジメントの要素も強く求められます。マネジメントは決して管理することではありません。「manage」には「何とか成し遂げる」という意味もある。チームをゴールに導くためにやれることは全部やるという意味で、ゴール設定が共有されていなければ共有するために努力することもマネジメントの一環。リーダーシップとマネジメントは一体だと思うんです。
生島 メジャーリーグの球団、オリオールズにマイク・エリアスというゼネラルマネージャーがいます。チームは今年約40年ぶりに100勝を挙げたんですけど、マイクは5年前に就任した時に「しばらく勝てません」ってファンに宣言した。その代わり未来は勝ちますって。それで本当に公約どおり、今年100勝しました。リーダーはターゲット設定してそのために必要な人材を集めて、個人個人が活躍できるように仕事を割り振っていく。個性を発揮する仕事をしてもらえるデザインを描く。これが理想型だと思います。
伊藤 全体像をデザインすることは大切ですね。僕はそれがあらゆるところで今の日本人に足りていないような気がするんです。
生島 自分の目の届くところしかデザインできていない。日本人は細かいところが気になっちゃうから、全体像がおろそかになります。
伊藤 目の前のことに一生懸命になりすぎるんでしょうね。だからひとりひとりの能力はすばらしいのにチームになると機能しなくなる。それがあらゆる弊害になっていると思います。
生島 トム・ホーバスHCも侍ジャパンを率いた栗山英樹監督もそのデザイン力がある。やはり今の時代はチームを統合できるデザイン力を持ったリーダーが成功しているんだと思いますね。
伊藤 今回の対談で、現在求められているリーダーの本質に触れることができた気がします。僕、震えるくらい興奮していますよ(笑)。
対談のPOINT
■ 1on1で大事なのは「聴く」こと
■ 個の「表現力」を上げるとチームの総力もアップ
■「譲れない思い」と「デザイン力」を意識する
取材・文/高山 惠