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「チームを率いるのに必要なのは情熱とデザイン力」生島 淳と伊藤羊一が読み解くスポーツ界に学ぶリーダーの心得

2024.01.08

スポーツ界のリーダーを数多く取材してきたジャーナリスト・生島淳さんと、ビジネス分野で次世代リーダーを育成するスペシャリスト・伊藤羊一さん。2人が考える、これからのリーダーに必要なこととは?

生島 淳 × 伊藤羊一

(左)スポーツジャーナリスト  生島 淳
広告代理店に勤務しながらフリーライターとなり、1999年にスポーツライターとして独立。ラグビー、駅伝、野球を中心に幅広いジャンルを取材。近著は『箱根駅伝に魅せられて』。

(右)武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 学部長  伊藤羊一
日本興業銀行、プラスを経て、2015年よりヤフー。現在、LINEヤフーアカデミア学長として次世代リーダー育成を担う。2021年、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部開設、学部長就任。

バレーのブラン監督は選手の意思を聞き出すのに2年かかった

「はい」と返答をするだけで自分の意思を伝えてこなかった日本人

伊藤 このたびはお会いできてうれしいです。生島さんはラグビーワールドカップの取材で、この対談の1週間前までフランスに滞在していたそうですね。

生島 6週間いましたが、なかなかハードでした。4年前に日本で開催された時は数か月前には取材がセットされていましたが、今回は取材許可が下りるのが前日の夜とかザラにあって。フランスでは当たり前だそうですが、そこから大慌てで鉄道やホテルの手配をしなきゃいけないんです。近年、海外を拠点にプレーする日本人アスリートは数多くいますが、彼らもこういう日常を送ることで、現場対応力が鍛えられているのだろうと感じました。

伊藤 対応力が磨かれてさらに力をつけているのですね。ところで僕と生島さんは同じ1967年生まれで、偶然にも同級生ですよね。

生島 僕たちが就職した90年代は、一生を決める覚悟で会社に就職し、その中でサバイバルしていくことに注力してきた人が多い世代です。もうそんな時代じゃないですが。

伊藤 おっしゃる通り、時代は変わりましたね。同じ会社にずっととどまった人がハッピーかというと、生き残ることだけを考えて、結局何のために仕事してきたかわからないような状態になる人も多いです。自分がしてきたのと同じように部下にもイエスマンを求めてしまう。そんな同年代は多いです。

生島 バレーボール日本代表のフィリップ・ブラン監督にインタビューした時に、こんなエピソードを聞きました。日本代表コーチ就任当初、各選手に個人面談をして「あなたにはこういうスキルを求めている」と伝えたのに、それが反映されるまでに2年かかったと。2度も個人面談をやって、選手は「はい」と言っているのに、一体これはどういうことだと思ったそうです。

伊藤 理解しているからではなく、反応として「はい」と言っているだけですよね。

生島 そうなんです。結局3度目の個人面談で「私はもう十分に説明したので、今度は私が言ったことに関してあなたがどう思っているか? それを説明する番です」と言ったら、選手が驚いたと。つまり日本人はずっと「はい」と返事をすることを求められて、自分の意見を説明する機会が与えられていなかった。それに気づいたことで、ようやく選手とのコミュニケーションが可能になったそうです。

伊藤 僕はチーム作りにおいて、とにかく1on1ミーティングを重視しています。なぜかというと、ひとりひとりの意思をしっかり持ってもらいたいから。でも多くの会社で行なわれている1on1は、上司が伝えたいことを伝えて「はい」と返答をもらって満足しているケースがすごく多い。さらに「俺の若い頃はこうだった」みたいな武勇伝が始まるともう最悪です(笑)。それだと部下は「はい」としか言いようがないですよね。そうじゃなくて、「どう思う?」みたいな質問で水を向けて、いかに相手に話してもらうかが重要なんです。1on1はリーダーの時間ではなく、メンバーの時間ですが、勘違いしている人が多い。

生島 今年夏の甲子園で慶應義塾高校が優勝しましたが、僕は2019年に、初めて慶應高校の野球部を取材したんです。印象的だったのが当時のキャプテンが練習メニューについて、森林貴彦監督に「この練習は必要ないと思います」と意見したこと。森林さんも「ああ、それなら省いてもいいね」って。

伊藤 それ、すごいですね。選手から監督に意見できるのも監督の反応もすばらしい。仕事でも同じように上下関係なく様々な意見を出して集約し、ともに目指すベクトルに向かっていくことが必要なんです。そのためにチームの一人一人に言葉でコミットしてもらい、意思を持ってもらう。そこがすべてだと思うし、スポーツもビジネスも同じはずです。

生島 近年スポーツ界ではそういったことができるチームが確実に結果を出しています。大学駅伝でも青山学院大学の原晋監督が選手の表現力をかなり重要視していて、「目標管理ミーティング」というのを実施しています。選手4、5人で集まって、今月の目標とその妥当性を振り返る。例えば「体調不良があって、目標は達成できませんでした」みたいな報告をすると、それを受けてもうひとりが「その原因は?」と尋ねる。自分をプレゼンする能力を鍛え上げるんです。

伊藤 原監督ってやっぱりすごいですね。僕もマネしたい。これ、メモっておきます(笑)。

フィリップ・ブラン監督パリ五輪出場を決めたバレー男子日本代表のフィリップ・ブラン監督。 写真/時事

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