Paravi買収でドラマに厚みをつける
エンタテイメント業界に向けたデータを提供するGEM Partnersは、動画配信サービスの国内シェアを調査(「動画配信(VOD)市場5年間予測(2023-2027年)レポート」)しています。 それによると、U-NEXTの2022年のシェアは12.6%となり、Amazonプライム・ビデオの11.8%を抜き去りました。
U-NEXTの一番の特徴が、見放題作品数の多さ。2022年12月時点で動画は27万本に及びます。U-NEXTのコンテンツ数を100%とすると、トップのNetflixは22%ほどしかありません。業界ナンバーワンのコンテンツ数を誇るという、分かりやすさが支持されている理由でしょう。料金は月額2,189円に一本化。他のサービスと比較すると割高ですが、コンテンツ量という対価でそれをカバーしています。
U-NEXTはアダルトコンテンツが視聴できる点でも他のサービスにはない特徴を持っていますが、ユーザーの6割が視聴しているトップジャンルはアニメ。テレビで放送しているものも数多く扱っており、アニメファンがU-NEXTのヘビーユーザーとなっています。
アニメファンは趣味にお金をかける傾向が強く、視聴者層が大きく変化しない限り、U-NEXTからの大量離反が起こる可能性は低いでしょう。
そして見逃せないのが、Paraviの買収。U-NEXTはアニメジャンルには強い自信を持っていたものの、ドラマが手薄であることが弱点だと捉えていました。ParaviはTBSとテレビ東京、WOWOWの合同配信サービスとして立ち上げたもの。買収によってU-NEXTのドラマジャンルに厚みがつきました。
USEN-NEXT HOLDINGSは、Paravi買収後にドラマ視聴ランキング上位作品の多くが、TBSとテレビ東京のドラマだったと説明しています。
※決算説明資料より
これまで、数多くの動画配信サービスが誕生しました。その中にはシェアを獲得しきれずに収益化できないものもあります。今後も企業、サービスの再編が進む分野となるでしょう。
取材・文/不破聡