パスワードを忘れた場合の対処法
ここからは、シート保護のパスワードを忘れてしまったり、引き継いだファイルのパスワードが分からなかったりするケースの対処法を解説します。
これから紹介する方法は、ご自身が作成したファイル、または明示的に許可を得たファイルに対してのみ実施してください。他人のファイルのパスワードを無断で解除する行為は、著作権法や不正アクセス禁止法に抵触する可能性があります。また、いずれの方法もファイル破損のリスクがあるため、必ず元ファイルのバックアップを作成してから作業してください。
参考:Microsoft サポート「ブックのパスワードを変更または削除する」
方法1:シートを別ブックにコピーする(最も安全・推奨)
シート保護で制限されているのは「保護対象として明示的に指定された操作」のみです。シート全体の選択とコピー自体は許可されているケースが多く、以下の手順で保護されていない別ブックに中身を移せます。
- 保護されたシートを開き、Ctrl+A(Macは Command+A)で全選択する
- Ctrl+C(Macは Command+C)でコピーする
- 新しいブックを作成し、A1セルでCtrl+V(Macは Command+V)で貼り付ける
- 必要に応じて列幅や書式を調整する
ファイル形式を一切いじらないため最も安全で、Microsoftの公式コミュニティでも推奨されている方法です。ただし、印刷範囲設定やマクロ、シート間の参照は引き継がれない点に留意してください。詳しいコピー手順はExcelのシートコピー方法も参考になります。
なお、シート保護の設定で「ロックされたセルの選択」と「ロックされていないセルの選択」の両方が許可されている標準的な保護では、この方法でほぼ全データをコピーできます。一方、選択自体を制限している厳しい保護がかけられている場合は、選択範囲が限定されるケースもあるので、その場合は方法2のzip変換を検討してください。
方法2:拡張子をzipに変更してXMLを編集する(中級者向け)
シート保護パスワード(ファイル全体の暗号化ではない)に限り、ファイル構造を直接書き換えて解除する方法もあります。手順がやや複雑なため、慎重に進めてください。
- 元ファイルのコピーを作成しておく(必須)
- ファイルの拡張子を「.xlsx」から「.zip」に変更する
- zipファイルを開き、xl→worksheetsフォルダの順に進む
- 解除したいシート名のXMLファイル(例:sheet1.xml)をメモ帳などのテキストエディタで開く
- 「<sheetProtection」で始まるタグを行末まで(/>または</sheetProtection>まで)削除して保存する
- zipファイルの拡張子を「.zip」から「.xlsx」に戻す
- Excelで開き、シート保護が解除されていることを確認する

この方法はファイル全体の暗号化(開くためのパスワード)には効きません。シート保護限定の手段である点にご注意ください。
方法3:VBAマクロでの強制解除は現在のExcelでは機能しない
検索すると古いVBAコードによるパスワード総当たり解除の手法が見つかりますが、これは過去のExcel 97-2003形式(.xls)でのみ有効だった方法です。現在のxlsx形式ではSHA-512による暗号化が施されており、従来のVBAブルートフォースは事実上機能しません。古い情報を試して時間を浪費するよりも、方法1または方法2を試すのが確実です。
方法4:専門ツール(参考情報)
PassFab for Excelなどのパスワード解除専門ツールが市販されています。ただし、有料かつパスワード強度によっては解除できないケースもあり、セキュリティリスクも考慮が必要です。本記事では推奨はしませんが、業務上どうしても必要な場合の選択肢として存在することのみ言及しておきます。
なお、ファイル全体の暗号化(開くためのパスワード)を忘れてしまった場合、Microsoftに問い合わせても解除はできません。これは仕様上の制約で、強固な暗号化と引き換えに復元手段が用意されていないためです。
Excelのシート保護が解除できない時のトラブルシューティング
「校閲タブの『シート保護の解除』が押せない」「グレーアウトしている」といったケースの原因と対処法をまとめます。多くの場合、パスワードの問題ではなく別の機能が干渉していることが原因です。

原因1:「ブックの共有」がオンになっている(最も多いケース)
ファイル名のタイトルバーに「[共有]」と表示されている場合、ブック共有機能が有効になっており、シート保護の解除ボタンがグレーアウトします。校閲タブから「ブックの共有を解除」を実行することで解除ボタンが押せるようになります。Microsoft 365では「ブックの共有(レガシ)」と表記されている場合があります。
原因2:ブック保護が同時にかかっている
シート保護とブック保護の両方がかかっていると、操作によってはエラーが出ることがあります。先にブック保護を解除してから、シート保護の解除を試してください。
原因3:読み取り専用モードで開いている
ファイル名の後ろに「[読み取り専用]」と表示されている場合、編集自体ができない状態です。ファイルを右クリック→「プロパティ」→「全般」タブで「読み取り専用」のチェックを外し、Excelで開き直してください。
原因4:そもそもパスワード入力画面が出ない
「シート保護の解除」をクリックしてもパスワード入力画面が出ず、すぐに解除されてしまう場合は、もともとパスワードが設定されていなかった可能性があります。一方、「変更しようとしているセルやグラフは保護されているシート上にあります」というメッセージが何度も出る場合は、別のシートで作業している可能性があるので、画面下部のシートタブを確認してください。
解除後の再保護とパスワード管理のコツ
シート保護を一時的に解除して編集が終わったら、再度保護をかけ直すケースも多いはずです。再保護の手順は解除と対になる流れで、校閲タブの「シートの保護」をクリックし、新しいパスワードを設定するだけです。
パスワードを再設定する際は、以下の点を意識すると後々のトラブルを避けられます。
- 推測されにくく、かつ自分は思い出せる文字列にする
- パスワード管理ツール(1Password、Bitwarden等)に必ず控えを保存する
- 業務ファイルの場合は、引き継ぎを想定して管理ルールを決めておく
部分的な編集を許可したい場合(計算式は固定したまま入力欄だけ編集可能にしたいなど)は、セルのロック解除と組み合わせる方法があります。詳しくは関連記事を参照してください。







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