セールスフォース・ジャパンから最新の消費者調査「コネクテッドショッパー最新動向」(第5版)の日本語版が発表された。
18か国の2400人の買い物客と1125人の小売業界リーダーを対象とした本年度の調査では、小売業界が再び創造的破壊の瀬戸際にあることが示された。
生成AIは一般に認知されてからわずか数か月で小売業界に影響を及ぼしており、17%の買い物客は、生成AIを使用して購入商品のインスピレーションを得たことがあると回答している。
本稿は、そんなリポートの概要をお伝えする。
生成AIが小売業界の新時代を切り開く
回答者の大半は生成AIを積極的には利用していないながらも、このテクノロジーがショッピングに役立つかどうかを探ることには関心を示している。
これを受けて、小売業者は自社のワークフローに生成AIを積極的に導入しないまでも、顧客エンゲージメントやオペレーションにおいて生成AIがどのような役割を果たすかの評価に追われている。
一般的なユースケースには、マーケティング資料の作成やカスタマーサービスにおけるパーソナライズされた応答などが含まれる。
■買い物客は物理チャネルとデジタルチャネルを使い分けている
小売業界に大きな影響を与えたテクノロジーは生成AIが初めてではない。オンラインであれ実店舗であれ、デジタルの導入は過去20年間で小売モデルを完全に覆しており、その傾向は衰えていない。
実店舗でのショッピングはコロナ禍後の回復期に入っている。2021年には購入の59%がデジタルで行われたと推定されているが、今年は51%に減少した。
しかし、人々がショッピングジャーニーを通じてデジタルとリアルのタッチポイントを使い分けることで、2025年にはデジタルでの購入が全体の56%に増加すると予測されており、再びデジタルへ振れることになる。
そのため小売業者は、チャネルをまたがってエンゲージメントをパーソナライズして、ロイヤルティを高めるために統合プラットフォームへの投資を促進しており、60%は戦略立案または実行のフェーズに入っている。
今でもEコマースサイトやアプリは、ブランド、小売業者、オンラインマーケットプレースにとって、最も人気のあるデジタルショッピングチャネルとなっている。
しかし、ソーシャルメディア、メッセージングアプリ、ライブストリーミングサービスなど、個々のブランドや小売業者とはまったく関係がない最新のデジタルチャネルや配信アプリも勢いを増している。
その一例として、現在では買い物客の59%がソーシャルメディアで購入したことがあると回答しており、2021年の15%から約4倍に増加している。