EC市場の平均価格の伸び率は、店頭市場より高い
前述のハイエンド製品市場におけるEC販売比率拡大などを背景として、EC市場の平均価格は上昇傾向が続いている。EC市場におけるデジタルカメラの23年1~9月平均価格は、2年前の21年と比べ42%上昇した(図3)。
これは、店頭市場における上昇率よりも10%ポイント高かった。同様に、ノートパソコンのEC平均価格上昇率は店頭よりも10%ポイント高く、テレビは同2%ポイント、完全ワイヤレスイヤホンも同8%ポイント高い。
このように、多くの主要カテゴリにおいてEC市場での価格上昇が顕著であった。このことから、ECでも高価格な製品を購入するという購買行動が定着しつつあるものと考えられる。
GfKの購入者調査によると、23年1月から6月の間にECでイヤホン、テレビ、ノートパソコンを購入した人のうち、購入店を選ぶうえで「価格やプロモーション」が重要だと回答した割合は46%だった。
この割合は、EC市場が大きく伸長する前の19年と比較すると10%ポイント減少している。
このことから、ECで製品を購入する際に価格面を重視する消費者は半数近くいるものの、価格優位性だけがECを選ぶ理由ではなくなってきていることがわかる。
このような消費者の意識の変化が、ECの価格上昇に対する下地になったのではないかと推察される。
構成/清水眞希