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言いたいことを「ひと言でまとめる」ための8つのプロセス

2024.01.09PR

ひと言でまとめるための「8 つのプロセス」を知る

この章では「ひと言でまとめる」ためのプロセスを、8つに分けてお伝えします。

1 勇気(言う気)を持つ
2 自分を知る
3 伝えたい相手を知る
4 目的地を明確化する
5 「コア」を探す
6 ばっさり捨てる
7 相手がどう動いたかを観察する
8 人間関係を発展させる

これらのプロセスを経ることで、誰でも「ひと言でまとめる」ことができるようになります。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

■[プロセス1]勇気(言う気)を持つ

子供のころ、こんな苦い経験をした記憶はありませんか?

私は小学校から中学校のころまで片思いをしていた女の子に、告白をしてフラれたことがあります。そのときなんと伝えたのかは、まったく覚えていません。片思いの期間が長すぎたため、言いたいことが膨らみすぎて、意を決して電話で告白をした際には支離滅裂なことしか言えなかったことだけは覚えています。

でも、後悔などあろうはずがありません。なぜなら、「言えなかった〝思い〟は残る」のです。その思いは行き場を失い、心のうちをさまよって、消えることはありません。だから、言葉にしようとした自分を褒めてあげるべきなのです。

あらゆる物事を伝えるためにいちばん大切なのは、「伝える勇気を持つ」ことです。

この本を手に取ったあなたは、おそらく人間関係の悩みやコミュニケーション上の問題を解決するために、静かに向上心を燃やしている方だと思います。

「もっとうまく相手に伝えられたら」
「もっと上手に提案ができれば、価値を示せるのに」

多くの人は、心のなかでそう思っていてもなかなか行動できません。

人間の行動に対する学術調査で、「100人中、25人が行動し、5人が継続し、70人は思っても何も行動しない」というデータがあります。とするなら、この本を買ってアクションを起こしたあなたは、すでに25%のなかに入っているということです。

つまり、言う気は、勇気です。

勇気の出し方のコツをひとつお伝えします。

「もうこの人とは二度と話せないかもしれない」と思うことです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、学生時代と違って、社会人になると多くの人と「気づいたときには、もう会うことがない」状態に陥ります。

もちろん、デジタルツールの発達で、誰かと連絡を取ることはとてもスムーズになりました。ですが、ある知人はスマホをなくしたことで、数百人レベルの人と「二度と連絡が取れない」状況に陥りました。

アメリカで起きた9・11同時多発テロで息子を亡くした母親の、『最後だとわかっていたなら』という詩は、まさに「伝えるべきことを伝えられるうちに伝えないと、二度と会えない運命が待っていることがある」と教えてくれます。

いま、何かを伝えたい相手がいるなら、勇気を出して伝えましょう。

■[プロセス2]自分を知る

言葉で何かを伝えるには、まず「自分は何者か?」ということを、自分なりに理解するのが大切です。

古代ギリシアの哲学者ソクラテスは、〝汝自身を知れ〟と説きました。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の言葉や、「まず、自己を知れとでも申しますか、自分というものを知らなければいけない。われわれ日本人は、日本を知らなくてはいけない、日本人を知らなくてはならないと、そんな感じがするのです」という松下幸之助の言葉も、自分を客観視して見つめることの重要性を説いています。

しかしそもそも、「自己を知るための努力をする」ことが、日本人はとても苦手です。

まず「ひと言でまとめたいと願う自分とは何者なのか?」ということを考えてみてください。

私が推奨するのは、以下の方法です。


自己分析トレーニング
(1) 自己分析:ノートを使って、自分の趣味嗜好、哲学、正義など、ひたすら思い浮かんだことを書いていく。
(2) 自己の確立:ウィキペディアの形式で自分史を作り、「自分の肩書とはなんなのか」を決める。
(3) 自分と他人の関係:心理分析モデルの「ジョハリの窓」を他人と共同で行い、いろいろな視点から自分を見つめる。


全部やるのが大変でしたら、(1)だけでもやってみてください。

自分というものを自分でよくわかっていないまま言葉を相手に伝えようとする行為は、土台がしっかりしていないものの上に建物を建てる、まさに砂上の楼閣だと私は考えています

■[プロセス3]伝えたい相手を知る

学生に対話形式の講義をする際に、必ず冒頭で投げかけている質問があります。

それは、「さて、私は誰でしょう?」というものです。

ほとんどの場合、学生たちはポカーンとした顔をして、「誰って……なんか講義があるって聞いたから、ここにいるだけなんですけど」といった雰囲気になります。

そこで私は続けます。

「今日、私が講義をすることは大学からの事前情報で知っていたと思います。さて、このなかで私のことを調べた人はいるでしょうか? どこの会社に所属しているのか、どんな仕事をしているのか、これまでどんなことをしてきたのか……。いまはインターネットでたいていのことは調べられます。重要なのは、事前に講義をする人物について知っているのとまったく知らないのとでは、同じ講義時間でも、受け取れる情報の密度が違うということです」

これからあなたが伝えたい相手については、事前に情報を集めるようにしましょう。とくにビジネスにおいては、初対面の相手でも世に出ている情報はあります。

「相手のことを調べるなんて」と抵抗のある方もいるかもしれませんが、ご本人が公開されている情報ならばなんら問題ありません。SNSなどで見つかる情報を集めましょう。その人を事前に知っておくことで、伝えたいことの方向性が定まっていきます。

●相手が属するコミュニティ
●相手の人格(発言)
●相手の交友関係
●相手がいま取り組んでいること

このあたりは、ネットで探せば手に入る情報です。相手にしても、自分のこれまでのビジネスの成果や発言を知ってくれていることは、「自分に興味を持ってくれているんだな」と感じて悪い気はしないはずです。

事前に情報を集めて、敬意を持って接する。

このことは忘れずにいてください。

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