天ぷら店のこだわりを込めた さつまいもで旬を感じる「塩そふと丸十」
<左>塩そふと丸十(カップ)は、いも天3枚入り。<右>塩そふと丸十(コーン)は、いも天2枚入りで、コーンに麦芽が入っている。各750円
最後に登場するのは、代官山にある「Tempura Motoyoshi いも」の「塩ソフト丸十」。恵比寿西の天ぷら専門店「天ぷら 元吉」店主の元吉和仁さんが手がける同店は、店名に「いも」と冠している通り、お芋の天ぷら専門店となっている。
「天ぷらの魅力をたくさんの方に知っていただきたいという想いから、親しみやすいいも天をメインに据えたメニューを提供しています。いも天のねっとりとした食感と合う控えめな甘さのソフトクリームは、『東京牛乳』をブレンドしたお手製で、本店と同じくまろやかな味わいの能登の浜塩を使用しています。ソフトクリーム単体でももちろん美味しいですが、いも天の良さを存分に引き出すのに最適な塩加減を追求しています」(元吉和仁さん、以下同)
「丸十」とは、和食業界におけるさつまいもの隠語で、薩摩藩主島津家の家紋・○に十の字にちなんで、さつまいものことを丸十と呼んでいるそうだ。10月中旬から11月中旬のさつまいも「新丸十(走り)」は、皮が薄く水分が多く、あっさりとした上品な甘さが特徴。11月中旬から3月下旬のさつまいも「旬丸十」は、水分が程よく抜けて、はちみつのような濃厚な甘さが味わえる。4月上旬から10月中旬にかけての「名残り丸十」は、水分が抜けて程よい甘さとほのかな酸味があるという。
「本来さつまいもが流通するのは10月から4月くらいまでですが、今では貯蔵技術が発達したことで1年中手に入るようになりました。単一農家で通年でさつまいもを供給できる農家はなかなかありませんが、元吉と提携している茨城県の農家『鹿吉』はかなり大規模で、質の高いシルクスイートを一貫して供給してくれます。だからこそ、ひとつのお芋を通して、季節による味わいの違いを感じ取っていただくことができるのです」
店舗を訪れた10月上旬は、店主曰く「名残り丸十」にあたる時期だった。言われてみればたしかにさつまいもの爽やかな甘みと酸味が感じられたし、何より驚いたのは、その食感だ。さつまいもの天ぷらと聞いてホクホクとした軽めの食感を思い浮かべていたが、ねっとり、しっとりとしたなめらかな舌触りで、口の中でほどけるほど柔らかかった。味はさっぱり・口当たりはねっとりという組み合わせは初めてで、とても新鮮だった。
「一般的な焼き芋や天ぷらの場合、水分が抜けることで味が濃くなるけれど、皮と身の間がどうしても痩せてしまうんですよ。当店では、本店が特許を取得した調理法を応用して、1時間くらいかけて揚げてじっくりと火を入れることで、水を抜き過ぎないからちょうどいい甘さでとろっとした食感になります。我々料理人は、本当に美味しいものをみなさんに食べてもらいからこそ、手間暇を惜しまないようにしています」
代官山は住宅地のため家族連れが多く、子どもたちへの食育になればという想いもあり提供しているそうだ。また、おしゃれなショップやカフェが多いことから、訪日観光客もたびたび訪れるという。
「一般的に知られているいも天のイメージを頭に浮かべながら食べて、びっくりされるお客様が多いです(笑)。海外の方にもすごく喜ばれていまして『アメイジング!』なんて言っていただけて、そうしたお客様のリアクションは見ていてすごく幸せな気持ちになりますね」
塩そふと丸十は、いも天やソフトクリームはもちろん、トッピングにもこだわっている。
「トッピングの天かすは、シリアルのような感覚でサクサクとした食感を楽しめ、本店と同じく希少なブレンド油を使用しているため、上品なコクを与えてくれます。黒い『竹炭塩』を仕上げにまぶすことで、能登の浜塩とはまた違った塩気が加わり味が締まって美味しくなるので、最後まで飽きずに食べ進めていただけるはずです」